2015 年 14 巻 4 号 p. 175-178
症例は70歳代,女性。以前より他院呼吸器内科で咳と慢性副鼻腔炎のため増悪時のみ治療をされていた。2012年6月頃より全指趾爪の肥厚,成長遅延,一部の黄色変化をきたし,上記病院皮膚科で黄色爪症候群と診断されたが治療されなかったため同月当院を受診した。当科でも黄色爪症候群と診断し,クラリスロマイシン内服,ステロイド外用による治療を行ったが効果なかった。しかし,副鼻腔炎に対して処方された辛夷清肺湯内服を開始したところ,副鼻腔炎とともに爪症状も改善した。過去の症例においても呼吸器疾患の改善に伴い黄色爪の改善が報告されており,呼吸器疾患と黄色爪との関連が示唆された。(皮膚の科学,14: 175-178, 2015)