2016 年 15 巻 2 号 p. 63-67
40歳代,女性。SLE のためプレドニゾロン 13mg を内服中であった。臀部の小水疱を主訴に当科を受診した。帯状疱疹の診断で入院し,アシクロビル 250mg×3回/day 点滴を開始した。自覚はないが残尿 750ml があり,尿検査では膿尿を認めた。セフジニルの内服および導尿を開始したが,入院12日目,38度台の発熱,血圧低下を生じ,尿路感染による敗血症性ショックと診断した。尿培養で緑膿菌を認めたため,セフタジジム投与を開始し,感染は落ち着いたが尿バルーンは留置したまま退院となった。腰仙髄領域の帯状疱疹では残尿の有無に注意し,経時的に残尿測定を行う必要がある。そして残尿量が多い場合には尿路感染への注意が必要である。(皮膚の科学,15: 63-67, 2016)