皮膚の科学
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15 巻 , 2 号
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カラーライブラリー
症例
  • 土山 真司, 鷲尾 健, 高砂 恵美, 正木 太郎, 福永 淳, 小川 聡, 斉藤 雅也, 矢野 嘉彦, 錦織 千佳子
    2016 年 15 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    40歳代,女性。幼少時期よりアトピー性皮膚炎と診断され加療を受けてきたが,最近では治療を自己中断していた。2015年春頃より全身のそう痒が増悪したため近医より当科に紹介受診となり,精査加療目的に入院した。季節の変わり目に皮疹が悪化するとの訴えがあり,うつ熱症状もあったため発汗機能異常を疑い全身温熱発汗テストを施行したところ顔面や体幹部の発汗低下を認めた。齲歯も複数あり,外分泌腺機能低下を疑い精査を進めたところ,抗 SS-A,SS-B 抗体陽性であり小唾液腺の導管に多数の細胞浸潤を認めシェーグレン症候群との診断に至った。アトピー性皮膚炎に対して外用治療を開始したところ,皮膚所見や好酸球の減少とは逆に肝逸脱酵素の数値が上昇した。シェーグレン症候群合併例のため,他の自己免疫疾患の併発についても精査したところ原発性胆汁性肝硬変が判明した。アトピー性皮膚炎では一般的に発汗機能異常が認められるが,発汗低下が著明な場合はシェーグレン症候群の合併も考慮に入れる必要があると考えられた。またアトピー性皮膚炎治療中に原発性胆汁性肝硬変に関連した肝逸脱酵素の数値が上昇した原因につき,Th1/Th2/Th17 バランスを含めて考察した。(皮膚の科学,15: 51-56, 2016)
  • 山口 明彦, 藤本 徳毅, 寺村 和也, 加藤 威, 古田 未征, 田中 俊宏
    2016 年 15 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    30歳代,男性。2009年3月上旬より特に誘因なく両下腿に紅斑が出現し,徐々に上肢にも拡大し発熱を伴うようになったため前医を受診した。セファゾリンの投与を受けたが軽快せず,D-dimmer 上昇,血小板低下を認め,原因不明の播種性血管内凝固と診断された。メシル酸ナファモスタットを投与され凝固異常は改善したが,発熱が持続しイミペネムの投与を開始されたが無効であった。このためステロイド内服やステロイドパルス療法も行われたが,発熱が持続するため当院転院となった。受診時,患者は Yamaguchi らの基準のリンパ節腫大以外のすべての項目を満たし,検査結果と合わせて感染症,悪性腫瘍,膠原病を除外し,成人発症 Still 病と診断した。ステロイドの単独治療,ステロイドパルス療法,メトトレキサート,シクロスポリンの併用,二重濾過血漿交換,コルヒチン内服のいずれにも著明な反応を示さず,軽快と増悪を繰り返した。治療抵抗性の成人発症 Still 病であり,IL-6 の高値を認めたため Tocilizumab の適応と判断し,Tocilizumab とステロイド内服の併用療法を開始したが病勢は完全には治まらず,最終的に Tocilizumab とメトトレキサート,ステロイド内服の併用により長期の寛解を得ることができた。Tocilizumab の難治性成人発症 Still 病に対する有効性については,今後も本例のような症例の積み重ねが必要と思われる。(皮膚の科学,15: 57-62, 2016)
  • 塩原 彩加, 尾藤 三佳, 服部 佐代子, 坂元 花景, 小西 啓介
    2016 年 15 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    40歳代,女性。SLE のためプレドニゾロン 13mg を内服中であった。臀部の小水疱を主訴に当科を受診した。帯状疱疹の診断で入院し,アシクロビル 250mg×3回/day 点滴を開始した。自覚はないが残尿 750ml があり,尿検査では膿尿を認めた。セフジニルの内服および導尿を開始したが,入院12日目,38度台の発熱,血圧低下を生じ,尿路感染による敗血症性ショックと診断した。尿培養で緑膿菌を認めたため,セフタジジム投与を開始し,感染は落ち着いたが尿バルーンは留置したまま退院となった。腰仙髄領域の帯状疱疹では残尿の有無に注意し,経時的に残尿測定を行う必要がある。そして残尿量が多い場合には尿路感染への注意が必要である。(皮膚の科学,15: 63-67, 2016)
  • 森田 玲子, 吉永 英司, 大磯 直毅, 川田 暁
    2016 年 15 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    70歳代,男性。初診の1年半前に,頸部に結節が出現し,その後体幹にも皮疹が出現した。頸部の結節は近医でのステロイド剤局所注射療法で縮小した。その後,顔面に腫脹,びらんが出現し,近医でベタメタゾン内服,クロベタゾールプロピオン酸エステル外用療法を受けたが改善なく,精査加療目的で当科を紹介された。初診時,顔面に軽度そう痒を伴う浸潤を触れる紅色から紅褐色の紅斑と局面が多発し,その多くは融合していた。体幹・四肢は紅色から紅褐色の紅斑が多発し,融合傾向を示していた。当科での1回目の生検では毛包内と毛包周囲にリンパ球の浸潤とムチンの沈着が認められ,毛包性ムチン沈着症と診断した。ソラレン内服後の内服 PUVA 療法を開始したが,一時的に効果を認めただけで皮疹は悪化傾向を示した。初診3ヶ月後の当科での3回目の生検の結果,毛包内と毛包周囲に異型リンパ球の浸潤が見られ folliculotropic mycosis fungoides(FMF)と診断した。Pirarubicin,cyclophosphamide,vincristine,prednisolone による THP-COP 療法を開始するも著効せず,脳への転移が考えられる所見が認められ,その1ヶ月後に永眠された。調べ得た限りでは FMF で脳転移がみられた報告例はなかった。FMF は mycosis fungoides(MF)と臨床症状が異なり,病理組織所見も多彩なため確定診断までに時間を要することがある。しかし MF と比較して病期進行が早く予後が悪いため,できる限り早期に診断し治療開始する必要があると考えられた。(皮膚の科学,15: 68-74, 2016)
  • 小川 達也, 田口 詩路麻, 井伊 聡樹
    2016 年 15 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    症例は50歳代の男性,既往歴に特記事項なし。来院4日前から誘因なく左第2足趾間にびらんが出現し,その後,左足背部の発赤,熱感,腫脹,疼痛が出現した。徐々に歩行困難となり,近医を経て総合病院に入院した。前医入院時ショックバイタルであり,急速に局所の炎症所見が拡大し,同日当院に転院した。臨床的に壊死性筋膜炎と診断し,抗菌薬投与開始,緊急デブリードマンを施行した。状態は安定し,入院6日目から陰圧閉鎖療法(V.A.C. 療法)を開始し,良好な肉芽形成があり,入院29日目に分層植皮術を施行した。軽快し,入院50日目に退院した。壊死性筋膜炎は,皮下脂肪組織および浅層筋膜における重症皮膚軟部組織感染症であり,救命のために早急な外科的処置が必要とされることが多い。今回我々は迅速な対応により良好な経過な得た症例を経験したため,文献的考察を含めて報告する。(皮膚の科学,15: 75-79, 2016)
  • 三宅 早苗, 松田 洋昌, 成田 智彦, 大磯 直毅, 川田 暁
    2016 年 15 巻 2 号 p. 80-84
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル 認証あり
    70歳代,女性。7年前に右乳癌と診断され,乳房温存術と術後放射線照射療法を施行された。1年前に右乳房に紫紅色局面が出現し,徐々に増大したため紹介受診となった。右乳房下部に境界不明瞭な濃淡のある紫紅色局面と直径 2cm 大の黒色結節を認めた。自覚症状はなく,皮下出血と浸潤を伴っていた。病理組織学的に血管肉腫と診断した。Weekly パクリタキセル療法を施行し,その後胸筋温存乳房切除術を施行したが,初診の2年後多発転移により死亡した。近年乳癌に対する乳房温存術と術後放射線照射が普及しており,今後放射線照射後の血管肉腫が増加すると推測される。乳癌術後に放射線照射を施行された患者に対しては血管肉腫の発症を念頭に置いた慎重な経過観察を行うことが必要と考えられた。(皮膚の科学,15: 80-84, 2016)
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