皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
乳癌に対する乳房温存術と放射線照射後に生じた血管肉腫の1例
三宅 早苗松田 洋昌成田 智彦大磯 直毅川田 暁
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 15 巻 2 号 p. 80-84

詳細
抄録

70歳代,女性。7年前に右乳癌と診断され,乳房温存術と術後放射線照射療法を施行された。1年前に右乳房に紫紅色局面が出現し,徐々に増大したため紹介受診となった。右乳房下部に境界不明瞭な濃淡のある紫紅色局面と直径 2cm 大の黒色結節を認めた。自覚症状はなく,皮下出血と浸潤を伴っていた。病理組織学的に血管肉腫と診断した。Weekly パクリタキセル療法を施行し,その後胸筋温存乳房切除術を施行したが,初診の2年後多発転移により死亡した。近年乳癌に対する乳房温存術と術後放射線照射が普及しており,今後放射線照射後の血管肉腫が増加すると推測される。乳癌術後に放射線照射を施行された患者に対しては血管肉腫の発症を念頭に置いた慎重な経過観察を行うことが必要と考えられた。(皮膚の科学,15: 80-84, 2016)

著者関連情報
© 2016 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事
feedback
Top