皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
Blaschko 線に沿って生じた硬化性萎縮性苔癬の1例
藤原 碧中島 武之伏見 博彰
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 15 巻 3 号 p. 130-134

詳細
抄録
20歳代,男性。約1年前からのそう痒などの自覚症状を伴わない頸部と上腕の紅斑を主訴に当科を受診した。初診時,前頸部と右上背部では不整形の,右上腕では Blaschko 線に沿った線状の,皮膚萎縮と周辺の脱色素斑を伴う赤褐色の紅斑を認めた。皮疹出現部位に外傷などの既往はなかった。血液検査所見では特記すべき異常所見はなかった。病理組織像で,角層肥厚と表皮の委縮を認め,真皮浅層の浮腫,中層での血管周囲性の炎症細胞浸潤と膠原線維の肥厚を認め,Lichen sclerosus et atrophicus(LSA)と診断した。LSA は閉経期前後の女性の外陰部から肛門周囲の白色局面として発症することが多く,Blaschko 線に沿って体幹や四肢に生じることは稀である。Blaschko 線に沿って LSA が生じた要因として,Blaschko 線上の表皮細胞あるいは線維芽細胞のモザイクが発症に関与している可能性があると考えた。(皮膚の科学,15: 130-134, 2016)
著者関連情報
© 2016 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事
feedback
Top