2016 年 15 巻 5 号 p. 332-336
第1例:40歳代,女性。10歳頃よりアトピー性皮膚炎と診断され,治療を受け寛解・増悪を繰り返していた。41歳時に,四肢と背部に小丘疹が出現し,増悪したため当院を受診した。第2例:30歳代,女性。幼少期よりアトピー性皮膚炎と診断され治療を受けてきた。両下腿に丘疹が出現し増加した。症状が増悪したため当院を受診した。2例とも病理検査にてアミロイド苔癬と診断し,ステロイド内服・外用,抗ヒスタミン剤を内服したが,改善しなかったため,シクロスポリンを投与したところ短期間で改善した。本邦においてシクロスポリンの著効例の報告は少ない。自験例より,シクロスポリンはアトピー性皮膚炎に合併したアミロイド苔癬の治療の選択になり得る可能性が示唆された。(皮膚の科学,15: 332-336, 2016)