2018 年 17 巻 2 号 p. 57-61
60歳代,男性。スルファメトキサゾール・トリメトプリム内服開始より13日後に,頸部から大腿部にかけて 1~2mm 大の融合傾向のある紅色丘疹,紅斑が出現した。発熱・リンパ節腫脹あり,肝機能異常・異型リンパ球上昇を認めた。経過中に抗 HHV-6 IgG 抗体価の上昇を認め,薬剤性過敏症症候群(DIHS)と診断した。皮疹出現より20日後,ステロイド加療中に急激な血糖上昇・ケトン体上昇・代謝性アシドーシス進行を認め,劇症1型糖尿病・糖尿病性ケトアシドーシスと診断した。皮疹は消褪傾向にあり,ステロイドを漸減したが,皮疹出現より192日後に皮疹の再燃を確認した。また同時期にいずれも正常であった TSH の上昇,FT4 の低下,抗 TPO 抗体の陽転化を認め,橋本病と診断した。DIHS の再燃と並行して橋本病を新規発症する可能性があることを念頭に置く必要がある。(皮膚の科学,17: 57-61, 2018)