2018 年 17 巻 5 号 p. 255-259
20歳代,女性,柔道部員。後頭部に生じた多発性毛包炎を主訴に当院紹介受診した。皮膚生検組織の真菌培養は陽性,培養された菌株は遺伝子検索で Trichophyton tonsurans と同定され,頭部白癬と診断した。所属する柔道部員の検診で陽性者が検出された。自験例は前医にて抗真菌薬が投与されていたため,臨床症状が軽快しつつあり,診断に苦慮した。T. tonsurans 感染症は症状が多彩で無症候性キャリヤーも存在するため,常に真菌症を疑い真菌培養を施行することが大切である。さらに,感染拡大を防ぐために,キャリヤーを探し治療をすることも不可欠である。 (皮膚の科学,17 : 255-259, 2018)