2020 年 19 巻 1 号 p. 20-25
71歳,男性。初診の 6 ヶ月前より左頬部に結節が出現し,増大傾向を示したため当科を受診した。 初診時左頬部に暗赤褐色結節を認めた。病理組織学的には,真皮から皮下組織にかけて線維性の被膜を有する多房性の腫瘍性病変を認め,腫瘍細胞胞巣が豊富な粘液内を浮遊していた。他臓器に腫瘍性病変を認めず,皮膚粘液癌と診断した。局所麻酔下で拡大切除および全層植皮を施行し,術後 3 年 3 ヶ月を経過したが再発・転移を認めていない。皮膚粘液癌の治療は切除が原則であるが,再発率が高いため適切な切除範囲の決定が必要である。 (皮膚の科学,19 : 20-25, 2020)