2020 年 19 巻 1 号 p. 15-19
76歳,女性。 5 年ほど前から右手掌に皮疹を認めた。近医皮膚科で外用治療を行われたが改善なく,当院皮膚科を紹介された。初診時,右手掌の母指球に 10×7mmの比較的境界明瞭な陥凹した紅色局面を認め,辺縁には軽度の鱗屑が付着していた。病理組織学的には角層の階段状の菲薄化や顆粒層の菲薄化がみられ,circumscribed palmar or plantar hypokeratosis と診断した。液体窒素療法を 1 回施行したところ病変部は消失し, 1 年を経過したが再発を認めていない。本症の治療法については様々なものが試みられているが,自験例では単回の液体窒素療法が著効を示した。 (皮膚の科学,19 : 15-19, 2020)