2020 年 19 巻 3 号 p. 202-207
34歳,男性。 3 年前より右臀部の黒色結節を自覚し, 1 年前より疼痛が出現しため当科を受診した。初診時,右臀部に 8×6mm大の黒褐色結節を認め,ダーモスコピー検査で central white patch,辺縁の delicate pigment network,赤∼青紫色の無構造領域がみられ,病理組織学的には真皮内の紡錘形細胞の増殖と血管内皮を欠く空隙,ヘモジデリン沈着がみられた。免疫組織学的染色にて紡錘形細胞は factor XIIIa 一部陽性,CD34 陰性であり,aneurysmal fibrous histiocytoma と診断した。今回のダーモスコピー所見はヘモジデリン沈着を伴う皮膚線維腫の像を反映しており,同疾患の診断の一助になると考えた。 (皮膚の科学,19 : 202-207, 2020)