2020 年 19 巻 4 号 p. 251-256
ヒト型抗ヒト IL-23p19 モノクローナル抗体であるグセルクマブは,本邦では乾癬には2018年 5 月より使用されているが,実臨床における有効性の報告はまだ少ない。そこで,当院では2020年 3 月末までに尋常性乾癬の患者23名(男性17例,女性 6 例)の患者にグセルクマブの投与を行ったので報告する。年齢の平均±標準偏差は58.8歳±13.2。乾癬の平均罹患年数は18.9年±8.3。グセルクマブ投与前の平均の皮疹面積は19.1%±16.1,Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアは 15.0± 9.9 であった。生物学的製剤の投与歴については,投与歴なし(バイオナイーブ) 9 例,投与歴ありバイオスイッチ)14例であった。バイオスイッチした14例のうち,ウステキヌマブから変更した患者が最も多く 8 例であった。効果は,投与28週までに PASI 75 を達成した症例は69.6%(16/23例),PASI 90 を達成した症例は47.8%(11/23例)であったが,バイオナイーブの症例に限れば PASI 75 を達成した症例は88.9%( 8/9 例),PASI 90 を達成した症例は77.8%( 7/9 例)と,高い効果を認めた。副作用としては, 1 例で T スポット○R TB が判定保留になる検査値異常を認めた。以上から,グセルクマブは実臨床においても尋常性乾癬の治療に有用であると考えた。 (皮膚の科学,19 : 251-256, 2020)