皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
当院でグセルクマブを投与した尋常性乾癬の23例
藤本 真由今井 康友永井 諒夏秋 優山西 清文
著者情報
ジャーナル 認証あり

2020 年 19 巻 4 号 p. 251-256

詳細
抄録

ヒト型抗ヒト IL-23p19 モノクローナル抗体であるグセルクマブは,本邦では乾癬には20185 月より使用されているが,実臨床における有効性の報告はまだ少ない。そこで,当院では20203 月末までに尋常性乾癬の患者23名(男性17例,女性 6 例)の患者にグセルクマブの投与を行ったので報告する。年齢の平均±標準偏差は58.8歳±13.2。乾癬の平均罹患年数は18.9年±8.3。グセルクマブ投与前の平均の皮疹面積は19.1%±16.1Psoriasis Area and Severity IndexPASI)スコアは 15.0± 9.9 であった。生物学的製剤の投与歴については,投与歴なし(バイオナイーブ) 9 例,投与歴ありバイオスイッチ)14例であった。バイオスイッチした14例のうち,ウステキヌマブから変更した患者が最も多く 8 例であった。効果は,投与28週までに PASI 75 を達成した症例は69.6%(16/23例),PASI 90 を達成した症例は47.8%(11/23例)であったが,バイオナイーブの症例に限れば PASI 75 を達成した症例は88.9%( 8/9 例),PASI 90 を達成した症例は77.8%( 7/9 例)と,高い効果を認めた。副作用としては, 1 例で T スポットR TB が判定保留になる検査値異常を認めた。以上から,グセルクマブは実臨床においても尋常性乾癬の治療に有用であると考えた。 (皮膚の科学,19 : 251-256, 2020)

著者関連情報
© 2020 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top