2021 年 20 巻 1 号 p. 1-5
光線過敏症の確定診断には人工光源による皮疹の誘発が極めて重要である。しかし,テスト用の紫外線光源として従来から使用されてきた蛍光灯型のブラックライト(UVA)とサンランプ(UVB)は,現在では製造中止となり,照射装置が入手不可能となった。近年,LED を光源とするウッド灯が発売されたが,ウッド灯の本来の使用目的は紅色陰癬などの細菌性,真菌性疾患の診断,尿中ポルフィリンの検出,色素異常症の病巣確認などである。著者は LED ウッド灯の UVA 波長分布と照射率がブラックライトと近似することを知り,光線過敏テストへの転用を試みた。UVB 光源には,光線治療用としてすでに使用されているターゲット型ナローバンド UVB を光線テストに試用してみた。健常人の皮膚では 8-methoxypsoralen の光毒性が LED ウッド灯照射で惹起された。また,光線過敏症の患者では両光源照射で皮疹が誘発されて,UVA と UVB に過敏な多形日光疹と診断することが出来た。両光源とも水銀を使用しないという利点に加えて,小型,軽量,安価で一般診療所でも購入,設置が容易である。ここに光線過敏テスト用の光源として新しい用途を提案したい。 (皮膚の科学,20 : 1-5, 2021)