2004 年 3 巻 2 号 p. 189-193
症例:33歳時発症の全身性強皮症,女性。43歳から,免疫抑制剤・ステロイド剤にて治療中であった。49歳時より肺高血圧症を合併した。ACE阻害剤等にて加療するも肺動脈圧は依然高値であった。58歳時,突然の呼吸不全により死亡した。全身性強皮症に肺高血圧症を合併する機序として,高度の肺線維症に伴う肺血管床の減少以外に,血管攣縮,血管炎,血栓症,塞栓症が考えられている。当症例は,肺線維症は軽度であり,剖検所見上明らかな血管炎,血栓症,塞栓症等を認めず,血管攣縮が肺高血圧症の発症と突然死に関与した可能性があると思われた。