皮膚の科学
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3 巻, 2 号
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カラーライブラリー
講座
  • 堀尾 武
    2004 年 3 巻 2 号 p. 137-149
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
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    光線療法は,現在行われている疾患治療法の中で最も古い歴史をもつと思われる。長い間,経験に基づいて行われてきたが,近年になってやっと理論的な治療法へと成長し,多くの疾患に用いられるようになった。種々の治療用光源も開発され,PUVA光化学療法,UVB療法,narrow-band UVB療法,UVA-1療法,光力学療法などがある。おもな適応疾患としては,尋常性白斑,乾癬,菌状息肉症,アトピー性皮膚炎など多彩である。免疫・アレルギー反応抑制作用が主要な作用機序と考えられる。紫外線療法の慢性副作用として,DNA損傷に起因する皮膚癌の発生を念頭において治療しなければならない。
研究
症例
  • 岡野 星子, 奥中 麻起子, 島田 英幹, 森 亮子, 生駒 晃彦, 神戸 直智, 西村 陽一, 松村 由美, 十一 英子, 是枝 哲, 高 ...
    2004 年 3 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    難治性痒疹3症例に対し14員環マクロライドであるロキシスロマイシン(RXM)を投与し,改善を認めた。いずれの症例も従来の治療法に難治であったが,RXMの内服を開始後数日でそう痒が軽減し,2症例においては皮疹も徐々に改善した。作用機序は不明であるが,14員環マクロライドは皮膚疾患におけるそう痒を軽減させるとの報告があり,14員環マクロライドの持つ抗炎症作用や免疫調節作用などが関与している可能性がある。RXMをはじめとする14員環マクロライドが,今後痒疹の新しい治療薬となりうることが期待される。
  • 村江 美保, 河合 修三, 堀尾 武
    2004 年 3 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    44歳,女性。右下腿に巨大なポケットを伴う潰瘍が出現し,近医にて半年間外用処置を行ったが軽快せず当科来院。合併症としてSLEと糖尿病がある。外用剤にて良好な肉芽組織が増生したがポケットは縮小せず,パッチグラフトと陰圧密封療法を施行したところ,グラフトの生着は良好で下部方向のポケットを残し閉鎖した。残存したポケット内にチューブを留置して2回目の陰圧密封療法を行ったのちポケットはチューブの形で残存するのみとなり,ポケットの先端を切開しトンネル状にして外用療法を継続し,創は完全に上皮化治癒した。陰圧密封療法はポケットの死腔が圧縮されると同時に浸出液が排除される有効な一方法であると思われた。
  • 宮本 はるみ, 寺澤 直子, 小西 啓介
    2004 年 3 巻 2 号 p. 166-169
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    28歳,男性。ほぼ原液のクレゾールを左下腹部から左下肢にかけて浴び,当科に救急搬送となった。来院時,体表面積の約5%に強い疼痛を伴う紅斑を認めた。デルモベート軟膏®外用にて翌日には,紅斑が消失し,受傷3週間目には上皮化が完了した。入院時の血漿・尿を保存し,ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ,m-クレゾール濃度は血0.31μg/ml,尿中0.97μg/mlであった。これは非常に低い値であり,受傷直後の洗浄及び早期の外用療法が有効であったためと考えられる。受傷面積が少ない場合でも,クレゾール中毒を起こす例が報告されており,注意が必要である。
  • 甲斐 裕美子, 中井 菜美, 井上 千津子, 明石 雄策, 梁 尚志
    2004 年 3 巻 2 号 p. 170-174
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    ゲフィチニブ(イレッサ®)は,強力かつ選択的な上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬で,2002年7月,世界に先駆けわが国で承認され,手術不能あるいは再発の非小細胞肺癌の治療に用いられている。当院では,2002年7月から2003年9月までの1年2ヵ月間に,合計32例に投与され,そのうち17例(53%)に皮膚病変の出現を認めた。それら皮膚病変を,ざ瘡様皮疹,爪囲炎,手掌・足底の乾燥,体幹・四肢の乾燥に分類したところ,ざ瘡様皮疹13例(40%),爪囲炎7例(22%),手掌・足底の乾燥6例(19%),体幹・四肢の乾燥6例(19%)であり,かなり高率に皮膚病変を合併していた。
  • 宮田 明子, 夏秋 優, 平野 愛, 林 義明
    2004 年 3 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    症例は59歳,男性。平成14年11月より脊髄損傷に対してカルバマゼピンを処方された。その約1ヵ月後より発熱と全身に紫斑を伴う紅斑が出現し,軽快しないため当科に入院した。入院時の血液検査では好酸球増多を伴う白血球増多,軽度の肝機能障害が認められた。プレドニゾロン30mg/日の投与開始により,皮疹は軽快し,検査所見は正常化した。また経過中血清HHV-6抗体価の上昇を認めた。皮疹軽快後に施行したパッチテストと薬剤によるリンパ球刺激試験では,テグレトール®で陽性であった。このリンパ球の培養上清中のサイトカイン検索では,テグレトール®の添加によってIFN-γ,IL-5の産生増加を認めたが,IL-4はほとんど変化がなかった。
  • 西原 清子, 寺前 浩之, 小林 裕美, 中西 健史, 石井 正光
    2004 年 3 巻 2 号 p. 180-184
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    52歳,男性。両足下腿の浮腫と色素沈着を主訴に当科受診。既往の開放骨折に起因する慢性骨髄炎の治療目的で塩酸ミノサイクリン200mg/日を3年8ヵ月にわたり内服していた。皮膚生検で,基底層のメラニン顆粒の増加,真皮全層に血管の拡張と増生,真皮浅層に出血像,真皮全層にわたり鉄染色陽性のヘモジデリン様物質の沈着を認めた。電顕観察では,真皮の組織球様細胞の細胞質内に電子密度の高い無構造物質を認め,一部はライソゾーム膜に囲まれていた。以上の所見よりミノサイクリンによる色素沈着と診断し,同剤の内服を中止したところ,色素沈着は徐々に消退した。(カラーライブラリーと同一症例)
  • 花垣 博史, 玉置 昭治, 奥村 興, 牧口 貴哉, 寺村 一裕
    2004 年 3 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    長年にわたる増悪,緩解により陰股部に難治性の疣状角化性局面を形成したHailey-Hailey病の1例を経験した。グラインダーとカミソリを用いて皮膚表層切除を施行したところ,特にカミソリが簡便で有用であった。いずれの場合も上皮化直後より,外用剤によるコントロールが容易になった。術後はマキサカルシトール外用に皮疹抑制効果を認めた。若干の文献的考察をふまえて症例報告する。
  • 山崎 文和, 宮下 祐子, 稲沖 真, 植木 宏明, 藤本 亘
    2004 年 3 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    症例:33歳時発症の全身性強皮症,女性。43歳から,免疫抑制剤・ステロイド剤にて治療中であった。49歳時より肺高血圧症を合併した。ACE阻害剤等にて加療するも肺動脈圧は依然高値であった。58歳時,突然の呼吸不全により死亡した。全身性強皮症に肺高血圧症を合併する機序として,高度の肺線維症に伴う肺血管床の減少以外に,血管攣縮,血管炎,血栓症,塞栓症が考えられている。当症例は,肺線維症は軽度であり,剖検所見上明らかな血管炎,血栓症,塞栓症等を認めず,血管攣縮が肺高血圧症の発症と突然死に関与した可能性があると思われた。
  • 西原 清子, 小林 裕美, 忽那 晴央, 石井 正光
    2004 年 3 巻 2 号 p. 194-197
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    48歳女性。慢性腎不全にて透析中。背部,胸部,腹部,上腕の順にそう痒を伴う紅色丘疹が出現し,当科を受診。背部に角化性丘疹が散在し,一部,ケブネル現象と考えられる皮疹の線状配列を認めた。背部の角化性丘疹のHE染色像では,表皮は皮疹中央部で杯状に陥凹し,底部の表皮は欠損し,炎症性細胞浸潤を認めた。陥凹部の角層は錯角化を示し,炎症細胞,膠原線維束などの変性物質が混在し,角栓様を呈した。マッソン・トリクローム染色像では,角栓内に下部の真皮より排出されつつある膠原線維を認め,エラスチカ・ファンギーソン染色像では,角栓内に弾性線維を認めなかった。以上の臨床所見および組織像よりARPCと診断した。
  • 里 博文, 瀬戸 英伸, 谷中 好子
    2004 年 3 巻 2 号 p. 198-201
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    色素性失調症の一卵性双生児例を報告した。症例1:双胎女児第1子。在胎34週0日,帝王切開にて出生した。出生時より体幹,四肢に列序性の水疱,痂皮を伴なった浮腫性紅斑を認めた。眼科的検索にて網膜出血を認めた。症例2:双胎女児第2子。顔面,体幹及び四肢に症例1より広範囲かつ集簇性に同様の皮疹が認められた。特徴的な皮疹および経過より症例1および2を色素失調症と診断した。本邦における双生児例は自験例を含めても4報告しかなく,まれと考えられた。
  • 小澤 健太郎, 山口 裕史, 板見 智, 吉川 邦彦
    2004 年 3 巻 2 号 p. 202-205
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    14歳,女児。出生時より存在した右耳前部の脂腺母斑内に約10日前より小結節が生じ,急速に増大してきた。病理組織学的にはケラチン塊を取り囲むように淡い好酸性の角化細胞が増殖し,細胞極性の乱れ,細胞異型,異常角化を認め,脂腺母斑に生じたケラトアカントーマと診断した。脂腺母斑に生じる二次性腫瘍としてケラトアカントーマは文献的にも稀であり,その多くは20歳代までの若年で耳前部に発生しており,本症の臨床的特徴であると考えられる。
  • 澤井 治子, 中川 浩一, 鶴田 大輔, 上原 慎司, 石井 正光
    2004 年 3 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    71歳,男性。syringomatous carcinoma(SC)の1例を報告した。初診の約5年前に右手背の小指側に直径5mmほどの無症候性の丘疹を自覚していた。その後,病変は次第に増大し,中央が潰瘍化し,疼痛も伴ってきたので当科を受診した。初診時,右手背に4×8cmの暗紫赤色の硬い局面があり,皮表よりわずかに盛り上がり,中央部に2×3.5cmの潰瘍が見られた。生検標本から有棘細胞癌が疑われ,全摘した。切除標本の病理組織像ではオタマジャクシ様の管腔を含めた汗管・汗腔様構造が多数見られ,骨浸潤を伴ったSCと診断した。文献的考察を加えたが,本邦例において手部での発生例が多いことが示された。
  • 澤井 治子, 中西 健史, 中川 浩一, 鶴田 大輔, 窪田 泰子, 梶本 敦子, 石井 正光, 前川 直輝
    2004 年 3 巻 2 号 p. 211-215
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    77歳,男性。初診の約3ヵ月前に,右上腕に直径約1.5cmの紅色結節が出現した。病理組織学的に,真皮全層にわたり大型で異型性の強い腫瘍細胞が増殖しており,個々の細胞は核が大きく,分裂像も散見された。腫瘍細胞はCD30陽性であり,TCRβ鎖の遺伝子再構成に単クローン性が認められた。以上より,anaplastic large cell lymphoma(ALCL)と診断した。67Gaシンチグラフィでは異常集積を認めず,頸部,胸部,腹部CTにおいてもリンパ節腫脹等は認められなかった。腫瘤を単純切除したが,手術1ヵ月後に右腋窩リンパ節を触知した。切除したところ,CD30陽性の同様の腫瘍細胞を認め,systemic ALCLと最終診断した。追加治療としてetoposideの内服を行った。
  • 東竹 逸子, 桧垣 淑子, 早田 名保美, 山田 裕道
    2004 年 3 巻 2 号 p. 216-219
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    患者は71歳女性。2002年7月に左第3頚髄節から第2胸髄節にかけての帯状疱疹に罹患している。1年4ヵ月後の2003年11月には反対側の右側の同神経支配領域に帯状疱疹の再発をみた。再発までの期間がきわめて短いために,悪性腫瘍の合併ならびに免疫機能の低下の有無を検索した。CD4の低下とCD4/CD8比の低下があり,human immunodeficiency virus(以下HIV)感染を疑いenzyme-linked immuno-sorbent assay(以下ELISA法)ならびにWestern blot法で検査したところいずれも陽性反応があり,自験例をHIV感染症と診断した。
  • 米澤 理雄, 出射 敏宏, 高橋 健造, 宮地 良樹, 田中 壮一, 望月 隆
    2004 年 3 巻 2 号 p. 220-226
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    京都市内の高校柔道部内におけるTrichophyton tonsuransによる体部白癬の集団発生例を経験した。患者は15~17歳の男子高校生および47歳男性顧問の計20名。皮疹は頭部,顔面の他,柔道着で覆われている体幹部にも認めた。診察した20名のうち苛性カリウム(KOH)直接検鏡では10名が陽性,鱗屑からの培養では4例のみにコロニーの生育が認められ(うち2名はKOH直接検鏡,培養ともに陽性),白癬と診断した。8名は真菌検査では確認できなかったものの,視診上白癬を疑わせる皮疹が認められた。従来の形態学的分類に加え,PCR-RFLPを用いた遺伝子学的所見からTrichophyton tonsuransと診断した。同校の道場から採取した塵埃の培養からも同菌が単離された。さらにPCR法を用いた種菌レベルの迅速診断法の開発を試みた。
  • 亀山 裕子, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正, 飯森 眞幸, 比留間 政太郎
    2004 年 3 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    72歳,男性,大阪府河内長野市在住の農業従事者に発症した固定型スポロトリコーシスを報告した。初診時眉間部に痂皮を付着した淡紅色局面を認め,スポロトリキン反応陽性。病理組織学的には真皮内に肉芽腫像がみられた。生検部の真菌培養でSporothrix schenckiiが分離・同定された。イトラコナゾール100mg/dayの3ヵ月間内服によって皮疹は治癒した。農作業中に軽微な外傷を受けそれによって発症した可能性が考えられた。
  • 東 禹彦
    2004 年 3 巻 2 号 p. 232-235
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    患者は健常な54歳,女性。左第1趾爪に混濁,肥厚を認め,培養でアスペルギルスを分離していたが,爪白癬と考えてテルビナフィンの内服による治療を行った。しかし,軽快しないために2回爪からの培養を行ったところAspergillus terreusを分離した。これは初診時に分離したものと同じであったので,Aspergillus terreusによる爪真菌症と診断した。イトラコナゾールの内服と1%ラノコナゾール液の外用および爪甲混濁部の除去により治癒した。テルビナフィンの内服で軽快しない爪真菌症では白癬菌以外の原因菌を考えて検索すべきであると考えた。
使用試験
  • 尾藤 利憲, 岡 昌宏, 船坂 陽子, 堀川 達弥, 市橋 正光, 錦織 千佳子
    2004 年 3 巻 2 号 p. 236-242
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    低刺激で低アレルギー性を目標としてロゼット株式会社で開発されたサンスクリーン製品(AK-UV®)の安全性及び有用性を検討するため,接触皮膚炎の既往またはアトピー性皮膚炎の敏感な肌を有する患者を対象とした顔面及び前腕の露光部への使用試験を実施した。接触皮膚炎,アトピー性皮膚炎合計36例に4週間の使用試験を施行した。1例の中途脱落例を除く,35例が評価された。乾燥,紅斑ともに使用前後で有意に改善が認められた。また,副作用による中止例は1例もなく安全に使用できることが確認できた。以上の結果より,本サンスクリーン剤は敏感肌用の日焼け止めとして安全で,かつ乾燥などの皮膚症状の改善に有用であると考えた。
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