抄録
患者は健常な54歳,女性。左第1趾爪に混濁,肥厚を認め,培養でアスペルギルスを分離していたが,爪白癬と考えてテルビナフィンの内服による治療を行った。しかし,軽快しないために2回爪からの培養を行ったところAspergillus terreusを分離した。これは初診時に分離したものと同じであったので,Aspergillus terreusによる爪真菌症と診断した。イトラコナゾールの内服と1%ラノコナゾール液の外用および爪甲混濁部の除去により治癒した。テルビナフィンの内服で軽快しない爪真菌症では白癬菌以外の原因菌を考えて検索すべきであると考えた。