2005 年 4 巻 2 号 p. 99-103
(背景)セファランチンはタマサキツヅラフジの塊根より抽出されたアルカロイドを成分とし,多彩な効能が知られている。特に末梢血管拡張作用,副交感神経緊張緩和作用を有し1),円形脱毛症の治療に用いられている2)。しかしセファランチンの毛成長に対する客観的評価は実施されておらず,さらに毛成長機構への作用機序は明らかではない。
(方法)我々はC3Hマウス背部毛を用いた薬剤の毛成長に及ぼす影響の評価系を確立3)し,実施してきた4)。今回,セファランチンの毛成長機構における作用をC3Hマウス背部毛塗布試験により検討した。さらに毛成長機構の作用機転を明らかにする手がかりとして,マウスvibrissaの毛乳頭細胞(DPCs)とヒト毛包の外毛根鞘細胞(ORSCs)のセファランチン添加細胞培養試験により検討した。
(結果)セファランチンにより 1)マウス背部毛の有意な毛成長促進作用を認め,2)ORS細胞増殖促進は認めなかったが,3)DP細胞増殖促進傾向を認めた。
(考案)セファランチンは経皮的な毛成長促進作用を有することが明らかとなった。従来考えられていた,末梢血管拡張作用による毛成長促進作用だけではなく,毛乳頭細胞に直接作用する作用機転が存在する可能性が考えられた。