アトピー性皮膚炎(AD)は精神的ストレスによって悪化する。この機序を明らかにするために,精神的ストレスとしての不安を客観的方法(STAI)を用いて評価して,ADの免疫学的パラメータとの関連を検討した。不安の度合いは,健常人と比べ,AD患者が高かった。また,ADは持続的な不安傾向(trait anxiety,TA)が変動する不安度(state anxiety,SA)よりも高い特徴があり,質的にも健常人と異なっていた。ADにおいては,血清総IgE値および末梢血中のTh1/Th2比がTAまたはTA/SA比と相関した。β2-アドレナリン受容体(ARB2)がTh1細胞に発現するといわれている。AD患者の末梢血CD4陽性細胞のARB2の発現を調べたところ,健常人と比較して有意に発現は低下しており,またこれはTAと関連していた。これらの結果より,AD患者のもつ持続的な不安傾向は,エピネフリンを介してリンパ球に影響を与え,Th2シフトを加速させている可能性がある。