皮膚の科学
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4 巻 , Suppl.5 号
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セッション1 臨床症状
  • 三橋 善比古
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A7-A10
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
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    アトピー性皮膚炎の実態を明らかにし,新しい治療法の開発を進めてゆくためには,疾患概念を共有して正確な診断を行うことが重要である。そのためには,世界で広く使用出来る簡便な診断基準が役立つと考えられる。現在,我が国の皮膚科では日皮会の診断基準が,欧米ではHanifin & Rajkaの基準が使われている。しかし,日皮会基準は専門医でなければ判定出来ない内容を含み,Hanifin & Rajkaは煩雑で,かつ血液検査や皮膚試験が必要である。一方,Williamsの診断基準は,簡便で検査も不要であるのにHanifin & Rajkaと同程度の感度と特異度を持つ。この3つの基準で,アトピー性皮膚炎との鑑別が難しいネザートン症候群の除外診断を試みた。その結果,Hanifin & RajkaとWilliamsの基準ではこの例はアトピー性皮膚炎とされ,日皮会基準では皮膚科専門医が使用した場合にのみアトピー性皮膚炎ではないと診断された。これらの基準はいずれも,非専門医が広く使うには不十分と考えられる。簡便で正確な診断基準が求められる。
  • 杉浦 久嗣, 中野 雅子
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A12-A16
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の冬季の皮膚乾燥を的確にコントロールするには脂質および水分の両側面からの保湿治療を行うことが重要である。脂質に関しては,尋常性魚鱗癬合併の有無を鑑別し,合併群では全身に保湿が必要であるが,非合併群では保湿剤を全身に使用する必要はない。非合併群では限局して見られる皮膚の乾燥は湿疹続発性であるので,この湿疹病巣部には保湿剤の外用は不適切であり炎症を抑制できるステロイド剤などを使用するべきである。水分の側面からはフィラグリンの動態から尋常性魚鱗癬合併群では全身性の乾燥に対して保水が重要であり,非合併群の限局性にみられる湿疹病巣部の2次的な乾燥に対しても保水が重要であると考えられた。
  • 荻野 敏
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A19-A22
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎との関連を検討する目的で,今回,重症アトピー性皮膚炎患者103名を対象に鼻症状の有無で2群に分類し検討した。アレルギー性鼻炎様の症状を有した患者は約半数の51例であった。鼻汁中好酸球,鼻粘膜肥満細胞は鼻症状ありの群で有意に陽性率が高かったのに対し,HDによる鼻誘発テスト,ヒスタミン誘発テストでは両群間に有意差は認められなかった。鼻症状を有していないにもかかわらず鼻誘発テストで陽性を示した患者が,将来的に鼻アレルギーを発症するか否かを調査していくことが鼻アレルギー症状発現の解明に有用であると思われた。
  • 羽白 誠
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A25-A28
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎を心身医学的に評価するには皮膚症状の評価と精神症状の評価が必要となる。精神症状の評価には通常の心理検査を行うのがよいが,近年はQOLを評価する質問紙が開発されてきている。皮膚科用のQOLを評価する質問紙も開発されている。さらにはアトピー性皮膚炎用のQOL評価の質問紙も作成されている。演者らは本研究会で「アトピー性皮膚炎患者心身症チェックリスト」を作成し,心身症ガイドライン研究で「アトピー性皮膚炎用心身症尺度」を作成した。これらは従来の心理検査とは違って,不安・抑うつ状態のほか心身症の病態や対処行動なども含めた評価方法であり,心身医学に精通していなくても簡便に評価できる。
  • 山田 秀和, 柳下 晃一, 熊本 貴之, 澤本 学
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A35-A39
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    筆者らは1996年にかゆみの評価にvisual analog scale(VAS)を用いることを提案した2)。その後,多くの論文に,VASを用いたかゆみの評価が採用されており,治験論文でもかゆみに対する有用性を検討するのに採用されている。疾患群の間のかゆみの程度の違いについても統計的検討がnon-parametric手法で明らかにできた4)。これらの経緯についてまとめた。また,VAS測定時の基準を長さ,色,測定時期などについてまとめた。
  • 橋爪 秀夫
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A41-A45
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)は精神的ストレスによって悪化する。この機序を明らかにするために,精神的ストレスとしての不安を客観的方法(STAI)を用いて評価して,ADの免疫学的パラメータとの関連を検討した。不安の度合いは,健常人と比べ,AD患者が高かった。また,ADは持続的な不安傾向(trait anxiety,TA)が変動する不安度(state anxiety,SA)よりも高い特徴があり,質的にも健常人と異なっていた。ADにおいては,血清総IgE値および末梢血中のTh1/Th2比がTAまたはTA/SA比と相関した。β2-アドレナリン受容体(ARB2)がTh1細胞に発現するといわれている。AD患者の末梢血CD4陽性細胞のARB2の発現を調べたところ,健常人と比較して有意に発現は低下しており,またこれはTAと関連していた。これらの結果より,AD患者のもつ持続的な不安傾向は,エピネフリンを介してリンパ球に影響を与え,Th2シフトを加速させている可能性がある。
  • 檜垣 祐子
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A48-A51
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    Quality of life(QOL)は,患者の主観的な幸福感を評価するため,測定には自記式の多項目質問表を用いることが多い。Skindex-16は皮膚疾患特異的QOL評価尺度で,著者らが作成した日本語版は原作との言葉の同義性および尺度としての妥当性が確認されている。アトピー性皮膚炎患者のQOLについて,Skindex-16日本語版を用いて横断的・縦断的に検討した結果,Skindex-16スコアはアトピー性皮膚炎の重症度に相関し,症状の変動に連動していたことから,Skindex-16を用いて測定したQOLはアトピー性皮膚炎の治療マーカーのひとつになるものと思われた。
セッション2 治療
セッション3 小児アトピー性皮膚炎の治療
  • 中村 晃一郎
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A75-A79
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)における血清IgE値は,重症度に相関し,また喘息保有群などで高値を示し、長期的なグローバルな指標として有用である。AD患者の自己血清中IgEがT細胞の活性化に関与する報告が認められており,IgEと湿疹病変の直接的な関連も示されている。IgE RASTは抗原検索に有用であるが,これらがすべての特異抗原を確定するわけではないため,抗原検索にはスクラッチ,プリックテストなどの皮内試験を施行し,総合的に検討すべきである。TARC/CCL17,CCR4は近年発見されたTh2細胞に関与するケモカインであり,ADの病勢を反映し,短期的な指標として有用なマ-カ-である。
  • 佐伯 秀久, 柿沼 誉, 中村 晃一郎, 玉置 邦彦
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A81-A85
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)患者における血清中のMDC/CCL22値は,乾癬患者,健常人に比べて有意に高値を示した。また,AD患者および乾癬患者における血清中のCTACK/CCL27値は,健常人に比べて有意に高値を示した。さらに,AD患者血清中のMDCおよびCTACK値は重症度が高い程高値を示し,治療により有意に低下し,またSCORAD,末梢血好酸球数,血清中のsE-selectin値,sIL-2R値,TARC/CCL17値と正の相関を示し,ADの病勢を反映することが示された。以上より,ADの治療マーカーとして血清MDC値やCTACK値は,TARC値と同様に有用であると考えられた。
  • 豊田 雅彦
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A87-A92
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎に対する治療マーカーを検討する際には,皮疹の重症度とかゆみの2点を考慮し,相関関係,有用性,特異性および侵襲性を重視すべきである。本症における神経系因子の特徴解析の結果,血中ではサブスタンスPおよび神経成長因子が本症の皮疹の重症度と相関した。また,尿中および唾液中では神経成長因子および遊離型神経成長因子受容体がアトピー性皮膚炎のかゆみと密接に相関しており,抗アレルギー薬などによるかゆみの軽減との密接な関連性が認められた。アトピー性皮膚炎に特異的な単一の神経系因子は同定されていないが,複数の因子を組み合わせることにより神経系因子は本症の有用な治療マーカーになりうると考えられる。
  • 岩月 啓氏, 大野 貴司, 山崎 修, 秋山 尚範
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A94-A98
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の増悪因子の一つとして黄色ブドウ球菌は重要である。日常生活を営む限り,皮膚に定着している黄色ブドウ球菌を完全に除菌して,無菌状態に保つことはできない。角層内でバイオフィルムに包まれて静止期にあるような定着(colonization)した黄色ブドウ球菌に対しては,抗菌療法も消毒も十分な効果発現は期待できない。アトピー性皮膚炎に対してポピドンヨードなどの抗菌療法が試みられ,スタンプ法による菌数減少や,臨床的有用性が報告されているが,その結果の解釈は慎重に検討され,再評価されなくてはならない。皮膚を清潔に保ち,適切なアトピー性皮膚炎治療を実施することにより,黄色ブドウ球菌を増えすぎないようにコントロールして,正常細菌叢のバランスを崩さずに,生体が持つ本来の角層バリア機能や,抗菌ペプチド発現を取り戻すような治療のストラテジーが理想的と思われる。
  • 青木 敏之
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A99-A104
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎におけるイソジン消毒療法に対し抵抗感をもつ皮膚科医は多い。それはイソジンの刺激性とアレルギー感作性を危惧してのことであるが,使用法を正しくすればそれらの心配は杞憂である。今回10歳未満のアトピー性皮膚炎患児の保護者に対し,イソジン消毒療法の評価を尋ねたところ好感をもつものが多かった。また皮膚症状別の効果を尋ねたところ,湿潤,掻破痕,紅斑,丘疹などに対する評価が高く,乾燥,落屑,浮腫などに対する評価は低かった。黄色ブドウ球菌のより多く繁殖すると思われる皮膚症状において評価が高かったことは,その効果に客観性があることを示すと考えられる。
  • 清 佳浩
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A109-A113
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎と皮膚真菌症,特に癜風菌との関係について検討した。
    抗ピチロスポルム(癜風菌)IgE RAST抗体高値は,重症のアトピー性皮膚炎特に頭頚部に皮疹を有する症例で認められる。癜風菌による皮疹増悪のメカニズムについては今後さらなる研究が必要である。
    アトピー性皮膚炎病巣部では非培養法を用いた研究から11種の癜風菌のうちM.globosaないしはM.restrictaが多く認められた。抗ピチロスポルムIgE抗体に使用されている抗原はM.sympodialis由来であり,今後M.globosaないしはM.restrictaの種特異的抗原を用いた研究が必要であろう。
セッション4 皮膚検査
  • 生駒 晃彦
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A116-A118
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    かゆみはアトピー性皮膚炎の主要症状であるが,その評価が困難で治療マーカーとしての実用性が問題点である。誘発性そう痒を用いて簡単に検査できるかゆみ過敏の有無や程度は,自発性そう痒よりも患者にとって評価しやすく,より実用的で患者教育にも適した治療マーカーとして報告した。
  • 竹中 基, 佐藤 伸一, 片山 一朗
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A122-A126
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    長崎大学附属病院皮膚科にて入院加療を行ったアトピー性皮膚炎(AD)患者11名(AD重症群)に対しヒスタミンプリックテストを行ったところ膨疹平均2.6mm,紅斑平均10.4mmであった。治療後には膨疹3.2mm紅斑19.9mmと紅斑は治療前と比べ有意に増強していた。また,病院実習中の医学部学生108名に同様のプリックテストを行ったが,12名に軽症のADを認め(AD軽症群),96名を健常者群とした。その結果AD軽症群では膨疹5.0mm紅斑17.7mm,健常者群では膨疹5.8mm紅斑27.2mmであり,AD軽症群の膨疹を除き,AD重症群では他群と比較し膨疹,紅斑共に有意に縮小していた。
  • 田中 稔彦, 田中 暁生, 石井 香, 秀 道広
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A128-A131
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者には,汗が皮疹の悪化因子と考えられる症例が多い。しかし汗に対する過敏性を証明するためには,患者毎に本人から運動あるいはサウナ浴によって汗を採取し,それを濾過滅菌した後に皮内テストを行うことが必要であった。このテストでは汗の採取にかかる負担が大きく,また皮内注射する汗の組成は一定しないために,反応の有無はもちろん個人間の反応の大きさを比較することができなかった。そこで我々はこの点を克服するため,健常人から集めた大量の汗からアトピー性皮膚炎患者に即時型反応を惹起する抗原を部分精製し,それを用いた患者末梢血好塩基球からのヒスタミン遊離試験法を確立した。この試験によって汗に対する反応性の程度を個体間,あるいは時系列で比較することが可能となった。さらには少量の血液を多検体同時処理できるシステムを開発し,日常の臨床検査に耐えうる汗過敏性試験の確立を試みている。
  • 片山 一朗, 竹中 基, Bae Sang-Jae, 江石 久美子
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A133-A138
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎においては汗を悪化因子あるいは増悪因子とする報告が多いが,病態形成に関与する汗の意義は不明の点が多い。
    今回我々は成人アトピー性皮膚炎患者18名を対象にし,アセチルコリンのイオントフォレーシス導入法を用いた定量的発汗機能検査を行った。アトピー性皮膚炎患者では直接性の発汗は健常人と有意差は認めなかったが,軸索反射性の発汗は病変部,健常部いずれにおいても低下が見られた。また治療により,皮膚症状が軽快した時点で4名に同様の発汗検査を行ったが,病変部,健常部ともに発汗機能の改善が見られた。これらの結果よりアトピー性皮膚炎患者では発汗に影響を及ぼすような器質的な皮膚の異常は見られないこと,皮膚炎の悪化時,病変部のみでなく健常部においても軸索反射性の発汗低下が生じており,ステロイド外用などによる軽快時その改善が見られることより,発汗低下にIPSFなどの免疫学的な機序の関与も考えられた。
  • 青木 敏之
    2005 年 4 巻 Suppl.5 号 p. A139-A141
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    重症のアトピー性皮膚炎,すなわち皮疹の程度と広がりが重症の患者においては,口渇,多飲,乏尿などが認められる。これらの患者においては,しばしば血清滲透圧の上昇,血清中のナトリウム値の上昇傾向,抗利尿ホルモン値の上昇,アルドステロン上昇などが見られる。この傾向は慢性重症アトピー性皮膚炎患者において特に顕著である。全身平均経表皮水分喪失量は最重症と重症患者では健康人より有意に高い。したがって皮膚炎に基づく角化異常と掻破による皮膚障害が水分ならびにナトリウムの喪失を起こし,それらがADHとアルドステロンの分泌を亢進するものと考えられる。
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