2006 年 5 巻 3 号 p. 217-222
Apocrine poromaの2例を経験した。症例1:71歳男性。1ヵ月半前に右背部の9×4mm大の赤褐色腫瘍に気づいた。組織学的に表皮と連続して真皮浅層に増殖する上皮性腫瘍で,腫瘍内に大小の長い管腔を多数認めた。腫瘍は毛包漏斗部様の構築に連続して発生し,断頭分泌もみられた。症例2:56歳男性。7年前より左大腿伸側に20mm大の淡紅色,表面顆粒状の局面が生じた。組織学的にはeccrine poromaを思わせる所見で,あきらかな断頭分泌はなかったが,分岐した内腔の不整な管腔や個別ないし小塊状の脂腺細胞を伴っていた。Apocrine poromaは比較的新しい概念であり,既報告例についての考察を加えた。