皮膚の科学
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5 巻, 3 号
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カラーライブラリー
症例
  • 神吉 晴久, 加茂 統良, 長野 徹, 堀川 達弥, 錦織 千佳子
    2006 年 5 巻 3 号 p. 217-222
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    Apocrine poromaの2例を経験した。症例1:71歳男性。1ヵ月半前に右背部の9×4mm大の赤褐色腫瘍に気づいた。組織学的に表皮と連続して真皮浅層に増殖する上皮性腫瘍で,腫瘍内に大小の長い管腔を多数認めた。腫瘍は毛包漏斗部様の構築に連続して発生し,断頭分泌もみられた。症例2:56歳男性。7年前より左大腿伸側に20mm大の淡紅色,表面顆粒状の局面が生じた。組織学的にはeccrine poromaを思わせる所見で,あきらかな断頭分泌はなかったが,分岐した内腔の不整な管腔や個別ないし小塊状の脂腺細胞を伴っていた。Apocrine poromaは比較的新しい概念であり,既報告例についての考察を加えた。
  • 吉田 康彦, 永尾 淳, 梶川 博司, 三輪 秀明, 石井 正光
    2006 年 5 巻 3 号 p. 223-226
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    69歳男性。1994年に前立腺癌を指摘され,以降ホルモン療法,放射線療法,化学療法にて加療されていた。2005年6月8日当科受診。陰嚢部を中心に米粒大から大豆大までの充実性で弾性硬の紅色丘疹を認めた。生検し,PSAに対する免疫組織学染色を行ったところ,浸潤細胞に一致して陽性染色所見が認められ,前立腺癌による転移性皮膚腫瘍と診断した。同時期PSA値980ng/ml(正常4.0以下)まで上昇し,またCT所見にて,全身への転移巣及び骨転移を認めた。皮膚転移発症確認より約2ヵ月後,死亡した。
  • 石田 智子, 川見 伸子, 近藤 摂子
    2006 年 5 巻 3 号 p. 227-230
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    72歳,男性。2年前から陰嚢右側に紅色の腫瘤が出現し,徐々に増大してきたため当科を受診した。初診時,陰嚢右側に拇指頭大の橙紅色,表面顆粒状,弾性軟,有茎性の結節を認めた。診断をかねて局所麻酔下に全切除した。病理組織学的に表皮の乳頭状増殖・肥厚,真皮乳頭層内の泡沫細胞浸潤,真皮内の血管拡張・増生を認め,verruciform xanthomaと診断した。本症例は典型例であったが,他症例の切除標本と比較すると真皮内の血管拡張・増生が著しく,静脈圧亢進が本腫瘍の成因に何らかの関与をしていることを示唆する所見と考えた。
  • 佐々木 浩子, 岡本 祐之, 堀尾 武
    2006 年 5 巻 3 号 p. 231-234
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    47歳,男性。2002年アルコール性肝硬変を指摘され,同時期より右前胸部,右上肢,右上背部に,自覚症状を伴わない紅斑が多発してきた。直径数mmのクモ状血管腫が右上半身を中心に多発しており,両側手掌紅斑と女性化乳房を伴っていた。検査所見は,アルコール性肝硬変を示唆しており,皮膚病理組織では,真皮上層に,軽度リンパ球浸潤を伴う拡張した毛細血管を認めた。特徴的な片側性の皮疹分布を示す臨床症状,検査所見より,アルコール性肝障害が原因と考えられるunilateral nevoid telangiectasia(UNT)と診断した。血中エストロゲン,プロゲステロン値は正常範囲であり,血管壁のエストロゲンレセプター発現は陰性であった。
  • 新保 有佳里, 東 耕一郎, 森脇 真一, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2006 年 5 巻 3 号 p. 235-238
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    Tufted hair folliculitisは頭部に瘢痕性紅斑局面を呈し,病巣部の開大した毛孔から束状に毛髪がみられるという特異な臨床像を示す疾患である。
    症例は54歳,女性。既往歴に慢性腎炎あり。頭頂部に1年前より出現し,徐々に増大し径5cm大となった瘢痕性紅色局面を主訴に当科を受診した。病変部に束状で疎な易脱毛性の毛髪が散在性にみとめられ,病変の一部から排膿も観察された。ロキシスロマイシンを1ヵ月間内服したところ病巣の炎症所見は消失し,脱毛を伴う瘢痕性局面を残して治癒した。
  • 高松 紘子, 池上 隆太, 猿喰 浩子, 玉井 正光
    2006 年 5 巻 3 号 p. 239-244
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    56歳,女性。2003年6月頃より下腿に皮下硬結を触れる紅斑が出現し潰瘍化。軽快と増悪を繰り返した。病理組織学的に真皮深層から皮下脂肪織にかけて血管壁のフィブリノイド膨化と血管周囲炎症細胞浸潤及び肉芽腫形成を認め,バザン硬結性紅斑と診断。ツベルクリン皮膚反応検査強陽性。活動性結核を認めず。バザン硬結性紅斑は結核との関連が議論されているが,結核感染の新しい診断法QuantiFERON®-TB2G(以下QFT)を用い結核との関連を検討した。QFTは感度・特異度が高く,ツ反の欠点を克服する検査として期待されており,結核発症に至らない潜在性結核感染をも検出する。QFTを用い結核感染の有無を確認することで適切な治療法選択につながると考えた。
使用試験
  • 末廣 晃宏, 奈良 武史, 村西 浩二, 森原 潔, 種田 晃子, 益田 浩司, 上田 英一郎, 岸本 三郎
    2006 年 5 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 2006年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル 認証あり
    15歳以上のそう痒性皮膚疾患患者95例を対象に,塩酸オロパタジンを2週間以上処方し,初診時と2~4週後の再診時に,Visual Analogue Scale(VAS)値を記録した。また同時に,治療満足度に関するアンケート調査を実施した。結果,前治療の有無に関わらず,塩酸オロパタジン内服後VAS値は有意な低下を認めた。また,内服前後のVAS値の変化量を求め,そう痒に対する効果別に患者を層別したところ,VAS値の改善度に比例して,「効果」,「薬剤満足度」の評価は高くなり,「継続服用の希望」を示す患者が増加した。
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