皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
Trichophyton tonsurans感染症の3例 -ブラシ検査結果の判定法とその問題点-
田邉 洋寺田 麻衣子長谷井 麻希小川 晴子安澤 数史河崎 昌子望月 隆石倉 直敬
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 5 巻 6 号 p. 430-434

詳細
抄録
石川県下某中学高校柔道部で発生したT.tonsurans感染症3症例をもとに,ブラシ検査法施行上生じうる問題点とその解決法につき検討した。
症例1は,ブラシ検査では陰性であったが,10日後の受診時に毛髪の真菌鏡検が陽性であった。症例2は,ブラシ検査が1週間持続的に1~2コロニー陽性で,5ヵ月後に200コロニー以上の陽性となった。症例3は,8週間の塩酸テルビナフィン内服治療後に直接鏡検で毛内寄生を認め,イトラコナゾール内服に変更した。
ヘアブラシ検査はT.tonsurans感染症の集団のスクリーニングには有用な方法であるが,持続感染例や難治例があり,1回のブラシ検査で即断せず経過を臨床的に観察し治療方針を決めていく必要があると考えた。
著者関連情報
© 2006 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top