皮膚の科学
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綜説
ハンセン病の最近の話題
石井 則久
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2008 年 7 巻 4 号 p. 416-420

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抄録
ハンセン病は主に皮膚と末梢神経に病変を形成する慢性抗酸菌感染症である。発症には乳幼児期における鼻粘膜を介したらい菌曝露が重要とされている。現在,日本では新規患者はほとんどなく年に8~10名程度である。皮膚症状は環状紅斑や紅斑局面,結節など多彩である。治療が遅れると,知覚神経や運動神経が侵され麻痺が生じる。治療はWHOの推奨する多剤併用療法に準じて行われている。治療薬のうちリファンピシンはらい菌に対して殺菌効果が高く,治療薬の中心となるが,耐性を生じないように確実な内服が求められており,また,他剤との併用が原則である。
ハンセン病の歴史は偏見・差別の歴史でもあった。さらに「らい予防法」という法律によりそれらが増長された。医師,医療関係者は,ハンセン病の歴史を正しく認識し,今後の診療に生かしていくべきである。
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© 2008 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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