皮膚の科学
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7 巻 , 4 号
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カラーライブラリー
綜説
  • 石井 則久
    2008 年 7 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    ハンセン病は主に皮膚と末梢神経に病変を形成する慢性抗酸菌感染症である。発症には乳幼児期における鼻粘膜を介したらい菌曝露が重要とされている。現在,日本では新規患者はほとんどなく年に8~10名程度である。皮膚症状は環状紅斑や紅斑局面,結節など多彩である。治療が遅れると,知覚神経や運動神経が侵され麻痺が生じる。治療はWHOの推奨する多剤併用療法に準じて行われている。治療薬のうちリファンピシンはらい菌に対して殺菌効果が高く,治療薬の中心となるが,耐性を生じないように確実な内服が求められており,また,他剤との併用が原則である。
    ハンセン病の歴史は偏見・差別の歴史でもあった。さらに「らい予防法」という法律によりそれらが増長された。医師,医療関係者は,ハンセン病の歴史を正しく認識し,今後の診療に生かしていくべきである。
研究
症例
  • 南 幸, 遠藤 英樹, 磯貝 理恵子, 川原 繁, 川田 暁
    2008 年 7 巻 4 号 p. 434-437
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    52歳,男性。2003年12月頃より右大腿部に潰瘍が出現し,近医の治療により一度治癒した。2004年5月頃から再び左大腿から臀部まで潰瘍が出現したため,2004年6月当科を受診した。初診時,右大腿と左大腿から臀部,腰背部にかけて広範囲に有痛性の多発性潰瘍を認めた。潰瘍の辺縁は隆起性で壊死組織を伴っていた。臨床所見および生検標本の病理所見より壊疽性膿皮症と診断した。入院の上ステロイドの全身投与を行い,症状は改善した。なお全身精査の結果,合併症は認められなかった。
  • 成瀬 明子, 中西 健史, 今西 久幹, 曽和 順子, 小林 裕美, 石井 正光
    2008 年 7 巻 4 号 p. 438-441
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    58歳,女性。53歳時,Overlap症候群と診断された8ヵ月後より背部に結節が出現し,その後5年間で徐々に増数した。初診時,前胸部から肩甲部に左右対称性,約2cm,正常皮膚色から褐色の硬い結節が多発していた。組織学的に真皮浅層から深層において,線維芽細胞はやや増殖し,結節状に増生する膠原線維を認めた。Overlap症候群に伴う結節状強皮症と診断し,原疾患に対するプレドニゾロン,シクロスポリン内服に加え,結節に対してメチルプレドニゾロン局所注射,トラニラスト内服を行うも結節は不変である。結節状強皮症は稀で,発症機序は不明であり,難治性の疾患である。
  • 市川 竜太郎, 市川 美樹, 古江 増隆
    2008 年 7 巻 4 号 p. 442-446
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病患者の下腿に生じたnecrobiosis lipoidica(NL)に0.1%タクロリムス軟膏の外用を試みた。53歳,女性。2型糖尿病の診断で内服による加療を受けていた。2004年1月,右下腿に自覚症状の乏しい硬結を触れる紅斑があるのに気づいたが放置していた。徐々に皮疹は中枢側に拡大し,硬化の程度が増大してきたため2007年9月18日当科を受診した。右下腿前面に比較的境界明瞭な90×80mmの板状硬結を触れる鱗屑を伴う褐紫紅色局面を認めた。生検にてNLと診断し酪酸プロピオン酸ベタメタゾン軟膏を外用するも,炎症と硬化の程度及び面積に変化はなく0.1%タクロリムス軟膏の外用に変更した。外用変更4週間後には著明な硬化の程度の減少が,8週間後には炎症の程度の減少がみられ,16週間後にはほぼ色素沈着となった。
  • 下浦 真一, 足立 厚子, 西谷 奈生, 佐々木 祥人, 安田 大成, 皿山 泰子, 清水 秀樹
    2008 年 7 巻 4 号 p. 447-453
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    66歳,男性。頭頂,両側頭に母指頭大の結節を認める。皮膚病理組織では真皮全層に異型リンパ球の結節状の密な浸潤があり,centroblastとcentrocyteの浸潤をみた。免疫グロブリンJH遺伝子再構成は陽性。EBV-VCA IgGは5120倍。血清HTLV-1抗体は256倍以上であったが末梢血及び皮膚組織のHTLV-1モノクローナリティーは陰性。以上よりHTLV-1キャリアに発症したprimary cutaneous follicle center lymphomaと診断した。HTLV-1感染とEBVの再活性化,B細胞リンパ腫の発症が関与している可能性があると考えた。
  • 東 禹彦, 流田 妙子
    2008 年 7 巻 4 号 p. 454-459
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    Aspergillus nigerによる拇指爪の爪真菌症の3例を報告した。68歳,72歳,56歳の女性で,3例とも発症後,爪郭炎と爪甲剥離を生じた。直接鏡検で球形の頂嚢と暗褐色の分生子を認めた。培養によりA. nigerを分離した。1例では組織学的に爪甲下角質増殖部に菌要素を認めた。剥離した爪甲を切除し,爪床部の褐色の菌要素を機械的に除去し,治癒した。3例とも大きな基礎疾患のない症例であった。空中真菌であるA. nigerが微小な外傷により爪部に接種されて発症するものと推定した。
  • 美浦 麻衣子, 古田 加奈子, 牧浦 宗彦, 鈴木 加余子, 伊藤 誠, 松永 佳世子
    2008 年 7 巻 4 号 p. 460-465
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    71歳男性。既往に慢性過敏性肺臓炎があり,プレドニゾロン10mg/日内服中で,糖尿病もある。趣味は山の開墾だった。初診の約3ヵ月前より右下肢に発赤,腫脹が出現し,放置したところ有痛性紅色結節が多発し,一部は自壊・排膿したため当科を受診。皮膚生検組織を2%小川培地35℃で培養したところ,5日目に乳白色のコロニーを形成し,DNA -DNA hybridizationでMycobacterium chelonae(以下M. chelonaeと略す。)と同定した。レボフロキサシン300mg/日,クラリスロマイシン400mg/日内服にて著明に軽快した。近年皮膚M. chelonae感染症治療においてクラリスロマイシンの有効性が注目されているが,本例においてもクラリスロマイシンが有効であった。また,本症における治療期間や治癒の判断時期に関しては一定の見解がなく,再燃を避けるためにどの時点で治療終了とするか,今後も検討が必要と思われる。
使用試験
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