皮膚の科学
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指定講演
アトピー性皮膚炎におけるダニ・アレルギーの重要性
中山 秀夫久米井 晃子
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2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A16-A23

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抄録

アトピー性皮膚炎(AD)は多因子疾患であるが,それでも過去20年間に,本症の主要原因はダニ(Dp,Df)である可能性を示すevidenceがいくつも報告されてきた。(1)ADではしばしば血清IgEが著しく上昇するが,RASTをUAで表現すると,激症42例の平均で1991年にはDpの責任率87.0%,2006年に77.2%であった。よってダニはIgEを上昇させている主役とみられる。(2)3匹の生ダニのパッチテストでspongiosis,CD4(+) T-lymphocyteの浸潤を主とする接触アレルギー型の陽性反応がみられた。(3)AD患者宅ダニ相を1990年代550家庭,2000年代171家庭において調査したところ,カーペット,畳,ソファ,布団などに多くのダニが存在し,その89%がDp,Dfであった。(4)日本と英国でおこなわれた,ダニ相を調べて確実にダニの居なくなるような改善をすると,randomにcontrolをとる方法で,ADはcontrolよりも有意差をもって改善し,際立った改善を示した症例もあった。以上より,難治で再発を繰り返すAD症例にダニ・アレルギーがあれば,ダニ相を調べて十分合理的なダニ対策をおこなうことが重要と考えられた。

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© 2008 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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