皮膚の科学
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7 巻 , Suppl.10 号
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指定講演
  • 戸倉 新樹
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A1-A4
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
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    アトピー性皮膚炎(AD)は,外因性ADと内因性ADとに分けられる。外因性ADは,バリアが破綻し,外来抗原の侵入を許し,アレルギーが発症する機序である。この外因性ADのバリア異常とそれに引き続くアレルギー機序のメカニズムは,フィラグリン遺伝子変異の発見,遅発型・遅延型反応の理解,Th17細胞を含むTh細胞亜群への理解,特異的IgE上昇などによりかなり判ってきた。一方,内因性ADの機序は,金属アレルギーか,かゆみ機序の異常か,あるいは他の機序か判然としない。例えば複雑なかゆみ機序での異常を逐一検証するのは容易ではないだろう。ADへの早期介入を考える上で,外因性・内因性を別々に論ずる必要がある。それはtopical immunomodulatorなど外因性ADをターゲットにするもの,教育介入など両方をターゲットにするもの,というように,異なるからである。
  • 澄川 靖之
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A5-A9
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    日本,中国におけるアトピー性皮膚炎の有症率と皮膚のバリア機能について調査を行ない,比較検討を行った。中国チベット自治区,中国江蘇省,日本の学童を対象に皮膚科検診を行い,その際に経皮水分蒸散量,角質水分量を測定し,入浴についてのアンケート調査を行った。アトピー性皮膚炎の有症率は,チベット0%,江蘇省2.63%,日本4.26%であった。この有症率の差を生み出すと考えられた環境因子について考察した。生活習慣・環境の変化によりアトピー性皮膚炎の有症率や皮膚のバリア機能がどう影響を受けるか今後も調査を行っていく必要があると考えられた。
  • 幸野 健
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A10-A15
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    衛生仮説とは衛生環境の改善に伴う幼少時における病原微生物への感染機会減少がアレルギー性疾患の一因であるとする仮説である。近年,喘息,アレルギー性鼻炎において,発症とエンドトキシン曝露との関連が明確になりつつあり新展開を見せている。アトピー性皮膚炎においても,家族研究や移民研究の結果は衛生仮説を示唆しており興味が持たれて来た。本稿ではアトピー性皮膚炎の衛生仮説に関する研究について概観した。現時点では,アトピー性皮膚炎に関して衛生仮説を支持できるエビデンスは部分的なものに限定される。今後の研究が待たれる分野である。
  • 中山 秀夫, 久米井 晃子
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A16-A23
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)は多因子疾患であるが,それでも過去20年間に,本症の主要原因はダニ(Dp,Df)である可能性を示すevidenceがいくつも報告されてきた。(1)ADではしばしば血清IgEが著しく上昇するが,RASTをUAで表現すると,激症42例の平均で1991年にはDpの責任率87.0%,2006年に77.2%であった。よってダニはIgEを上昇させている主役とみられる。(2)3匹の生ダニのパッチテストでspongiosis,CD4(+) T-lymphocyteの浸潤を主とする接触アレルギー型の陽性反応がみられた。(3)AD患者宅ダニ相を1990年代550家庭,2000年代171家庭において調査したところ,カーペット,畳,ソファ,布団などに多くのダニが存在し,その89%がDp,Dfであった。(4)日本と英国でおこなわれた,ダニ相を調べて確実にダニの居なくなるような改善をすると,randomにcontrolをとる方法で,ADはcontrolよりも有意差をもって改善し,際立った改善を示した症例もあった。以上より,難治で再発を繰り返すAD症例にダニ・アレルギーがあれば,ダニ相を調べて十分合理的なダニ対策をおこなうことが重要と考えられた。
  • 池澤 善郎, 山口 絢子, 桐野 実穂, 松倉 節子, 池澤 優子, 蒲原 毅, 相原 道子
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A24-A32
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    成人アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)の電気伝導度と経表皮水分蒸散量(TEWL)が対照の健常人のそれと比較してそれぞれ低下し上昇していることから,角質水分保有量の低下と水バリアー障害があり,さらにAD患者の皮表には軽度な症状でも黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)叢が多く存在し,黄ブ菌数が少ない場合は保湿的スキンケアだけドライスキンが改善するが,黄ブ菌数が多い場合は保湿的スキンケアだけでは不十分であった。そのため,抗生剤ではないが黄ブ菌に対して選択的な増殖抑制作用があるFXを含む静菌的クリームの連用試験を実施したところADの有意な改善をもたらし,被験部皮表の黄ブ菌数の比率も有意に低下した。ADの診断に重要なドライスキンの出現時期とその早期対策がADの発症・悪化に及ぼす効果については未だ明らかでないことが多いため。乳幼児期ADの有症率の追跡調査に際してTEWLを測定し,4ヵ月児と1歳6ヶ月児の疫学調査においてADあり群となし群の比較検討したところ,TEWLが有意に高いという成績を得た。そのため乳幼児皮膚のTEWLがADの早期診断の補助として有用であり,ドライスキンに対する早期対策がADの発症・悪化に及ぼす予防効果が期待される。
    ADのモデルマウスDS-Nhは血清総IgE値の軽度上昇を伴ってAD様皮疹が発症し,リンパ節細胞のstaphylococcal enterotoxin B(SEB)による刺激培養ではIL-4でなくIFN-γとIL-13の産生が亢進し,DS-Nhの皮疹スコアは血清中のIL-18値と有意に相関したことから,中西らが提唱しているsuper Th1によるAD自然発症のモデルマウスに相当すると思われる。またこのDS-NhマウスにおいてTNCB接触感作前のCy投与群では無投与群に比べSEB刺激所属リンパ節細胞によるIFN-γやIL-13の産生上昇を伴ってAD様皮疹が増強したが,血清IgE値は上昇せず,TNCB感作直前にCy無投与マウス由来のCD25+T細胞を移入することで,Cy投与によるAD様皮疹の悪化に対して抑制効果を示しただけでなく,Cy投与による皮表黄ブ菌数の増加に対しても抑制効果を示した。Cy投与1日後の腸間膜リンパ節におけるCD25+T細胞数が減少し,そのFoxp3の発現率が低下したことから抑制活性のあるCD25+ Foxp3+調節T細胞は,恐らくIgE産生よりCD25- super Th1細胞によるIFNγとIL-13の産生を抑制してAD様皮疹発症の免疫調節に関与していると考えられる。このCD25+調節T 細胞の免疫調節を受けるsuper Th1によるアレルギー炎症は,ADのモデルマウスだけでなくヒトのADにおいてもその発症と悪化に関与していることが推定されるため,super Th1に対する効果的なCD25+Foxp3+調節T細胞の誘導によるADの新規免疫療法の開発が期待される。AD患者の血清IL-18値もADの皮疹のスコアと有意に相関しており,ヒトADの病態においてもADのモデルマウスDS-Nhと同様にsuper Th1が関与している可能性が高いと考えられる。
    ADでは皮膚における神経成長因子(NGF)の発現が亢進し,そう痒が強いADの悪化や慢性化に関与していると考えられており,NGFがADの病勢マーカーとしても注目されているが,これまでは血液や尿での測定が中心で,皮膚での測定は皮膚生検組織検体を用いた侵襲的な方法しかなかった。ヒト皮膚NGFの非侵襲的な測定方法としてテープストリッピング法とELISA法により角層中のNGFを測定したところ,AD患者の皮疹部の角層内NGFは健常人やADの非皮疹部と比べ高値であった。さらにAD患者の前腕屈側部皮膚のNGFを経時的に測定することにより,そう痒や皮疹の経過との関係,抗アレルギー薬がNGF量に及ぼす影響などについて興味深い知見を得た。このNGFの作用により促進された知覚神経の突起伸張を抑制する反発性軸索ガイダンス分子のSemaphorin 3AがADの痒みを抑制することが期待されるため,モデルマウスのAD様皮疹にこのSemaphorin 3Aを局所投与したところ,掻破行動を抑え皮疹の著明な改善をもたらした。ADのドライスキンとその治療において黄色ブドウ球菌が果たす役割とADの痒みとその治療において神経成長因子と反発性軸索ガイダンス分子 Semaphorin 3Aが果たす役割について解説した。
  • 坪井 良治
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A33-A37
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    Malasseziaは皮膚に常在する真菌で,現在13菌種に分類されている。非培養検出法(PCR)を用いてMalasseziaを検出すると,アトピー性皮膚炎(AD)患者の病変部の方が非病変部や健常人に比較して高率に検出された。またMalassezia菌種特異的IgE抗体も陽性となる。成人の頭頚部難治性ADの病態にはMalasseziaの関与が大きく,抗真菌薬治療により軽快する症例が多い。MalasseziaはADの悪化因子のひとつとして重要である。
  • 藤村 響男
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A38-A44
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    ADは,免疫学的にはTh2ドミナントな疾患で,抗原に対するTh1/Th2応答の変動によって臨床経過が異なる。我々は以前,難治性AD患者が水痘や麻疹感染後にAD症状が数ヶ月にわたって改善する現象を解析し,この軽快現象は感染ウィルスを排除するために皮疹部において産生されたIL-12が,ダニ抗原応答性Th2細胞に作用しサイトカイン産生パターンがTh2タイプからTh1タイプにスイッチしたためと結論づけた(J Allergy Clin Immunol;100:274-282,1997)。これらを背景として今回,コンビ株式会社機能性食品事業部の協力を得てIL-12産生刺激能の強い乳酸菌株を選定し,動物実験と臨床試験によりアレルギー疾患に対する乳酸菌の効果を検討した。
  • 河野 陽一
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A45-A49
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    食物アレルギーの発症予知因子として,アレルギーの家族歴,臍帯血IgE値などが用いられるが,その感度および特異度は十分ではない。乳児において摂取歴がない食物に感作されていることがよくみられる。また,母乳中に母親が摂った食物タンパク質が分泌されることも知られており,授乳を介した食物感作もある。そこで,妊娠後期から授乳期にかけて母親および乳児に食物除去が試みられたが,乳児期までの食物アレルギーの発症率を低下させることはできるが,乳児期以降のアレルギー疾患の発症率に差は認められず,予防法としては妊娠中そして授乳中の食物除去は推奨されていない。最近は,Lactobacillus rhamnosus GGなどプロバイオティクスによる食物アレルギーの抑制効果が報告されている。
  • 青木 敏之
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A50-A55
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(以下atopic dermatitis,AD)の悪化要因を明らかにすることは慢性経過中の患者においては困難をともなう。新発生のアトピー性皮膚炎における発症誘因は慢性経過中の悪化要因と共通する可能性を想定し,新発生のADあるいはその疑いのある症例を集め,発症誘因とおぼしき事項を分析した。集めた症例は123例(男36,女87)で,皮疹の分布の特徴からこれをAD 50例,眼瞼皮膚炎(以下eye lid dermatitis,ELD)26例,刺激性皮膚炎(以下irritant dermatitis,ID)47例に分けた。発症誘因を住宅(ダニ,ペット,新改築後入居,転居,建物取り壊し,引越し手伝いなど),自然(季節の花粉との近接),肌(刺激)(職業的水仕事,シャンプー,毛剃りなど),身体的ストレス(過労),精神的ストレス(抑圧,人的葛藤),健康(感染症など)に分けた結果,ADは住宅に,ELDは自然に,IDは肌(刺激)に有意に高い関連があったが,肌(刺激)と住宅は3疾患群いずれもかなりの関連があった。身体的・精神的ストレスは3群に同程度にかなりの関連が認められた。これらの発症誘因の回避または対応は初発症例の治療の前提として大切と思われる。同時に慢性経過をとるADの悪化要因としても考慮すべき事項と考えられる。
  • 横関 博雄
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A56-A61
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    重症の成人型アトピー性皮膚炎患者が増加して一時社会現象の一つにもなっていたが,免疫抑制外用剤などの開発により近年は沈静化してきている。アトピー性皮膚炎の治療は基本的には,増悪因子を見つけだし除去するとともにスキンケアに注意してステロイド外用剤,免疫調整剤などを適切に使用することで比較的容易に改善することが多い。私たちの教室で入院した重症アトピー性皮膚炎の難治化因子を検討した。その結果,最も高頻度であったのは石鹸,シャンプー,リンスなどによる皮膚刺激因子であった。これらの症例では洗剤の使用を変更もしくは中止することにより皮膚症状の改善が認められた。また,潜在性の感染症も患者自身の自覚症状がなく増悪因子となることが見られた。慢性扁桃炎,歯根膿瘍などの感染症が合併することによりアトピー性皮膚炎の皮膚症状が悪化する頻度は36.3%もあり増悪因子としては3番目に多い。これらの潜在性の感染症を見出し治療することにより顔のび漫性紅斑,貨幣状湿疹様病変,全身性の漿液性丘疹などが改善することが認められた。また,アトピー性皮膚炎の患者の30%の症例でスギ花粉により増悪することも明らかにしてきた。難治化するアトピー性皮膚炎の重症例ではこのような増悪因子,要因が複雑に何度も作用することにより治療に抵抗性であるようにみられるが,実際は皮膚症状を詳細に観察し,詳しい病歴を聴取しその要因を明らかにして取り除くことにより意外と簡単に軽快することが多い。増悪因子,要因を早期に発見して除去することは,難治化のアトピー性皮膚炎を改善するだけでなくアトピー性皮膚炎の難治化,遷延化への予防にも結びつくと考えられた。
  • 浅井 俊弥
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A62-A66
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    スギ花粉飛散時に眼瞼などの露出部位に皮膚炎の増悪をみとめる症例の特徴を明らかにし,また再燃・増悪を避けるための対応について,アンケート調査を行った。2003年1月から2007年5月までに来院した眼瞼炎を伴うアトピー性皮膚炎で,経過からスギ花粉が悪化因子と考えられ,かつ,スギ花粉抗原のプリックテストが陽性であった,159例を集計した。男性58例,女性101例で女性に多く,20歳代までの若年者が70%を占めた。また,有効であった予防法や日常生活の留意事項をたずねるアンケートをこれらのうち142例に送付した。タクロリムス軟膏の外用,帰宅後のシャワー浴の有効率が高く,日常生活上あるいは早期治療として有用であると思われた。
  • 中村 晃一郎
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A67-A69
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の早期介入には発症予防と再燃予防がある。その悪化因子にはストレス,環境因子,接触抗原,食物抗原などのさまざまな関与があるが,薬物療法(外用療法,抗ヒスタミン内服),スキンケア,生活指導,心身的治療を組み合わせながら長期的な寛解維持を誘導することが再燃予防につながると考えられる。家族を含めた患者教育という要素も重要である。
  • 金子 聡, 向野 哲, 饗場 伸作, 向井 秀樹
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A70-A75
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    重症で難治性になったアトピ-性皮膚炎に対する入院療法は,早期介入という観点からも極めて重要である。当科に入院歴のある75名に関してアンケート調査を行い,性別,年齢の他,入院前後での皮膚および精神症状等につき検討した。退院後に現在も良い皮膚状態を維持しているという患者は88%に達した。また,他施設における入院療法との比較検討を行い,その有用性および問題点についても言及した。
  • 向井 秀樹
    2008 年 7 巻 Suppl.10 号 p. A76-A81
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/05/18
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)は多病因的な疾患であり,個別に病態を考える必要がある。ADの病態としては,IgE依存性および接触アレルギーといった免疫学的機序,バリア障害による非免疫学的機序の2つがあげられる。治療において重要なポイントは,個々の症例ごとに強く関与する病態を考え,早期介入によって適切かつ十分な治療を行うことである。早期介入とは,アレルゲンの感作を予防する発症予防と発症早期に適切に治療する増悪予防の2つに大別される。このような早期介入を積極的に行なうことにより,増え続けるアレルギー疾患に歯止めをかけることが出来る。さらに,皮疹の重症化を予防し寛解の状態を継続することによって,AD患者のQOL向上に貢献できる。
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