2009 年 8 巻 4 号 p. 428-434
54歳,男性。B型肝硬変加療中。刺身を食べた3日後より発熱と倦怠感があり,4日後には左下腿の疼痛と腫脹を認め,当科を初診した。左下腿に淡紅色の斑が散在し,1カ所のみに紫斑を認めた。同日夜に疼痛が増悪し,緊急入院した。翌日には左下腿全体に紫斑が拡大し,多数の血疱を認めた。ショック状態となり緊急手術を施行した。血液培養と組織培養よりAeromonas hydrophilaが同定された。抗生剤イミペネム,パズフロキサシンを投与し,エンドトキシン吸着などの集学的治療により,全身状態の安定を得,感染徴候の改善を認めたが,肝腎症候群となり22日で死の転帰をとった。肝硬変患者には本菌に対する予防が重要である。