皮膚のかゆみに対する内服薬が日常生活にどのような影響を与えているのか,患者の希望するかゆみに対する治療薬はどのような条件を満たせばよいのかを検討するためインターネットを介したアンケート調査を行った。医療機関から内服薬を処方された成人の32%が眠気を訴え,そのうちの約半数が眠気で仕事の効率が落ち,勉強に集中できないと回答した。かゆみを抑制する薬剤について患者に希望を質問したところ,かゆみを有する患者は,1日1回の服用で眠気が少なく,かつかゆみの抑制効果が強く,さらに日常生活の各場面で速やかに服用できる内服薬を求めていた。しかし成人,小児の8割以上が眠くなりにくいかゆみ抑制剤を認知していなかった。さらに「水なしで服用できる内服薬(口腔内崩壊錠)」について成人,小児ともにその9割以上がその存在を知らなかった。またその約4割が,存在するのであれば口腔内崩壊錠を希望すると回答した。皮膚科医はかゆみを有する患者のこれらの希望について認識するとともに,患者の生活様式にあわせてできるだけこれらの条件を満たす薬剤を処方することが求められている。(皮膚の科学,9: 282-290, 2010)