皮膚の科学
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9 巻 , 3 号
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症例
  • 山中 隆嗣, 種村 篤, 飯室 詠理子, 西岡 めぐみ, 矢島 智子, 谷 守, 金田 眞理, 片山 一朗, 野島 聡, 青笹 克之, 平川 ...
    2010 年 9 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    72歳,男性。初診の2年前より陰部にそう痒を伴う紅斑と脱色素斑を自覚し,次第に結節を形成したので当科を受診した。生検にて Paget 癌と診断した。初診時すでに多発リンパ節転移と骨転移がみられ,化学療法などの治療を試みたが腫瘍は進展し,初診から1年9ヶ月後永眠した。剖検にて脳転移を含めた多臓器転移を認め,腫瘍の転移様式を考察する機会を得た。(皮膚の科学,9: 229-236, 2010)
  • 山中 隆嗣, 渡邊 愛子, 庄田 裕紀子, 田口 敬子, 金田 眞理
    2010 年 9 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    54歳,男性。2000年に胸腺腫を,2004年より重症筋無力症を発症し,プレドニゾロンとタクロリムス(プログラフ®)を服用していた。重症筋無力症に伴う頸部の筋力低下と呼吸機能の低下にて神経内科に入院していたが,四肢体幹に中央が暗赤調で辺縁は淡紅調を呈する不整形の紅斑が出現してきたため,当科を初診した。プレドニゾロンとプログラフ®以外の薬剤をすべて中止し,ステロイド剤パルス療法と免疫グロブリン静注療法を施行したが皮疹は改善せず,次第に Stevens-Johnson 症候群の像を呈するようになった。しかしプログラフ®を中止したのちには皮疹は軽快傾向となり,紅斑および粘膜疹は改善した。
  • 中森 利枝, 西村 由佳理, 梅垣 知子, 谷 守, 種村 篤, 片山 一朗, 濱野 梨絵, 竹政 伊知郎, 関本 貢嗣
    2010 年 9 巻 3 号 p. 244-249
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    63歳,女性。平成19年1月より少量の下血を自覚していた。近医外科にて肛周囲の黒色斑を指摘され,同年7月に当科を紹介され受診した。肛門を全周性に取り囲む不整な黒色斑に加え,大腸内視鏡検査で歯状線を跨ぐように紅褐色の結節が存在し,その表面には白苔を付着し,基部には不整な色素斑を伴っていた。この病変を生検にて直腸および肛門の粘膜型悪性黒色腫と診断した。画像上は遠隔転移がみられなかったため,当院消化器外科にて腹会陰式直腸切断術および側方郭清術を施行した。隆起性病変の厚さ (tumor thickness) は 16mm,組織学的に所属リンパ節転移をみとめ,術後には病期を2002年 AJCC 分類に基づき pT4bN2bM0 Stage IIIC とした。免疫組織化学染色で腫瘍細胞の10~20%に核内でのエストロゲンレセプターの発現が確認されたため,術後の補助化学療法として DTIC,CDDP に加え,抗エストロゲン剤であるタモキシフェンの連日内服療法を併用した。しかしながら術後2ヶ月で多発性の肝,骨盤内リンパ節転移を疑う病変が出現し,その5ヶ月後に永眠した。(皮膚の科学,9: 244-249, 2010)
  • 兪 明寿, 福井 奈央, 大津 詩子, 森脇 真一
    2010 年 9 巻 3 号 p. 250-253
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    59歳,女性。平成20年11月頃から頭頂部の紅斑,脱毛を認めるようになったため,平成21年4月に当科を受診した。初診時,頭頂部に径 4cm 大,軽度の鱗屑を伴う紅斑性の脱毛斑があり,皮下には硬結を触れた。1つの毛孔から複数の毛髪が出ている所見もみられた。禿髪性毛包炎を疑い,皮膚生検を施行した。病理組織学的に毛包周囲の好中球の浸潤,毛包壁の破壊像が認められた。また1つの毛包に複数の毛幹が含まれている部分 (tufted hair) も確認できた。以上の所見より本症例を禿髪性毛包炎と診断した。
  • 坂元 とも子, 牛上 敢, 安澤 数史, 藤井 俊樹, 阿部 真也, 望月 隆, 林 裕子
    2010 年 9 巻 3 号 p. 254-259
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    83歳,女性。右前腕に排膿を伴う紅色の結節を列序性に3個認めた。スポロトリキン反応は陽性であった。病理組織学的検査では,真皮深層から皮下にかけて,強い炎症細胞浸潤を伴う肉芽腫を認め,ラングハンス型巨細胞と星芒体もみられた。PAS 染色では赤染される胞子様菌要素を認めた。温熱療法とヨウ化カリウム内服を行い,約3ヶ月後に瘢痕治癒した。今回,我々は,培養を経ずに菌の DNA を直接検出する direct PCR を試みた。初診時の膿汁より抽出した DNA について菌種特異的な nested PCR を行ったところ,病巣内に Sporothrix schenckii の DNA の存在を確認することができた。よって本法はスポロトリコーシスの迅速診断に有用であると思われた。
調査
  • 谷岡 未樹, 宮地 良樹
    2010 年 9 巻 3 号 p. 260-270
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    皮膚のかゆみが皮膚科受診につながる割合および病状説明に対する患者の満足度を,インターネットを介したアンケート調査で評価した。かゆみを有する成人の42%(2,242人/5,322人),小児の60%(969人/1,618人)は医療機関を受診していた。受診者のうち,皮膚科のみを標榜する開業医を受診した割合は成人56%,小児44%であった。成人の55%,小児の62%は最初の医療機関を変更していないが,変更した患者は平均して3施設以上の変更をしていた。病状説明については皮膚科のみを標榜する開業医を受診した成人患者の66%が満足していた。患者は日常生活におけるかゆみの対処法の説明を希望しており,その説明が患者の満足度を上昇させるものと考えられた。
  • 谷岡 未樹, 宮地 良樹
    2010 年 9 巻 3 号 p. 271-281
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    皮膚のかゆみに対して医療機関を受診して治療薬を処方された患者と市販薬を購入した患者の治療効果およびその満足度について比較検討するため,インターネットを介したアンケート調査を行った。医療機関では成人,小児ともに60%が内服薬を処方されており,そのうちおよそ60%が「効果あり」および「満足した」と回答した。外用薬は成人患者全体の80%,蕁麻疹患者の65%に処方されていた。蕁麻疹患者の85%が「外用薬の効果あり」と回答し,70%以上が「満足した」と回答した。蕁麻疹に対して外用薬は心理的および物理的に高い効果があると推察された。市販の内服薬または外用薬を購入する際に薬剤師から説明を受けた人は,それぞれ25,12%と少数であった。成人患者では市販の内服薬,外用薬ともに処方薬と同程度の効果および満足度であった。コンプライアンスに関しては,処方薬と市販薬の両方で内服薬は成人で60%程度と高かったが,外用薬は処方薬(成人39%),市販薬(成人26%)ともに低く,「かゆいときに外用する」傾向が認められた。蕁麻疹に外用薬を処方することは,その薬理学的機序とは関係なく,患者の満足度向上につながっている可能性がある。(皮膚の科学,9: 271-281, 2010)
  • 谷岡 未樹, 宮地 良樹
    2010 年 9 巻 3 号 p. 282-290
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル 認証あり
    皮膚のかゆみに対する内服薬が日常生活にどのような影響を与えているのか,患者の希望するかゆみに対する治療薬はどのような条件を満たせばよいのかを検討するためインターネットを介したアンケート調査を行った。医療機関から内服薬を処方された成人の32%が眠気を訴え,そのうちの約半数が眠気で仕事の効率が落ち,勉強に集中できないと回答した。かゆみを抑制する薬剤について患者に希望を質問したところ,かゆみを有する患者は,1日1回の服用で眠気が少なく,かつかゆみの抑制効果が強く,さらに日常生活の各場面で速やかに服用できる内服薬を求めていた。しかし成人,小児の8割以上が眠くなりにくいかゆみ抑制剤を認知していなかった。さらに「水なしで服用できる内服薬(口腔内崩壊錠)」について成人,小児ともにその9割以上がその存在を知らなかった。またその約4割が,存在するのであれば口腔内崩壊錠を希望すると回答した。皮膚科医はかゆみを有する患者のこれらの希望について認識するとともに,患者の生活様式にあわせてできるだけこれらの条件を満たす薬剤を処方することが求められている。(皮膚の科学,9: 282-290, 2010)
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