皮膚の科学
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研究
UVA 曝露ヒト真皮線維芽細胞でのコラゲナーゼIおよび線維芽細胞エラスターゼ発現に対するフラビンモノヌクレオチドの抑制効果
中島 弘明石堂 裕子芋川 玄爾
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2010 年 9 巻 5 号 p. 442-451

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抄録

真皮マトリックス蛋白分解酵素であるコラゲナーゼI (MMP-1) やヒト線維芽細胞由来エラスターゼ (SFE) は,紫外線によるシワやたるみの発生と関連が深い。UVA 曝露培養ヒト真皮線維芽細胞におけるこれら酵素の発現増強に対するフラビンモノヌクレオチド (FMN) の UVA 照射直後の添加による効果を調べた。UVA 照射12時間後に有意に上昇する SFE 遺伝子発現は,FMN 0.2,1.0μg/ml の添加で有意に減少した。UVA 照射72時間に有意に増加する SFE 蛋白発現は,FMN 5.0μg/ml の添加で有意に減少した。また,UVA 照射72時間後に有意に増加する SFE 酵素活性は,FMN 0.2,5.0μg/ml 添加で有意に減少した。MMP-1 についても同様であり,UVA 照射24時間後に有意に上昇する MMP-1 遺伝子発現は,FMN 1.0,5.0μg/ml 添加で有意に減少し,UVA 照射72時間後に有意に増加する MMP-1 蛋白発現と酵素活性は,FMN 1.0μg/ml 添加で有意に減少した。以上の結果より,FMN は UVA 曝露ヒト真皮線維芽細胞での SFE と MMP-1 の遺伝子発現,蛋白発現および酵素活性の上昇を,程度は弱いが抑制する作用を示し,今後 in vivo 実験での検証が必要ではあるが,FMN は UVA 照射で引き起こされるシワやたるみを予防する効果を有する可能性が示唆された。

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© 2010 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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