皮脂減少性皮膚炎は近時増加傾向にある. 本院外来にて1974年から8年間の統計によると, 1974年は外来患者総数の1.77%であったが, 1978年3.04%, 1981年には3.33%と倍増し, 統計的に1978年から有意に増加していることが見出された. 冬期湿疹の別名があるように秋より冬に多いが, 四季を通じてみられた. 年代別では60才代より急増し, やや男性に多い. 本疾患の増悪因子に石鹸の使いすぎが考えられるので, 日本人の平均的入浴状況を知るため併せてアンケート調査を行った. 風呂好きで石鹸もよく使うことが判明した.
本疾患は皮脂減少に基づく疾患と考えられているが, その文献的考察をし, 誘因となる環境因子, すなわち低湿度, 石鹸 (界面活性剤), 衣服の摩擦などとの関連性を述べた.