皮膚
Online ISSN : 1884-541X
Print ISSN : 0018-1390
ISSN-L : 0018-1390
シッョクを伴った抗生剤による接触蕁麻疹 (抄録)
田中 章
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 28 巻 3 号 p. 349

詳細
抄録

症例: 24才, 女性, 病棟勤務看護婦。
2才頃よりアトピー性皮膚炎があり, 最近はおもに手の亀裂, 紅斑, 落屑などいわゆる手の湿疹が目立っていた。
昭和59年8月頃より, 点滴, 注射薬の調整, 注射中に突然手掌の発赤, 掻痒, 全身の膨疹を生じていた。昭和59年10月12日, 点滴交換, 注射を行っているうちに突然手掌の発赤, 掻痒を生じ, 引き続き全身の掻痒性皮疹, 眠気, 腹痛などが出現し, 意識不明となりショック状態となった。
病歴で特に抗生剤の溶解, 注射中によく出現するとの事から, 抗生剤によるものと考え, 抗生剤の皮内テスト液により皮膚反応, P-K反応を施行した。結果はパンスポリン, ペントシリンで, 貼布試験の即時型反応, P-K反応が陽性となり, IgEの関与した接触蕁麻疹と考えた。
また, 手の皮疹は配置転換により抗生剤との接触を避けるようになって, 著明に改善してきた事より, 接触蕁麻疹の一症状であった可能性も示唆された。

著者関連情報
© 日本皮膚科学会大阪地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top