抄録
和歌山医大皮膚科では1988年から1994年の7年間におけるvon Recklinghausen病 (以下R病) の受診患者は150例で, 2例に悪性神経鞘腫を発症している。症例1: 32歳, 女性。親族に同症なし。第2子にcafé au lait spotsあり。腹部から左側背にかけてのpachyderermatoceleの中央に硬結あり, 第2子出産後急激に増大し, 乳児頭大の弾性硬の懸垂性腫瘤となる。組織学的に悪性神経鞘腫と診断された。R病患者の妊娠中に悪性神経鞘腫が増悪したという報告例はあるが, 出産直後に増悪した症例はないと思われる。症例2: 23歳, 女性。親族に同症なし。小児時より右腰部の濃褐色結節を伴う淡褐色局面が徐々に隆起し, 10×6×3cm弾性軟の腫瘤となり切除, 組織学的に本症も悪性神経鞘腫と診断した。