1995 年 37 巻 5 号 p. 510-516
アトピ一性皮膚炎患者30例の皮疹部より分離された黄色ブドウ球菌について, スーパ方抗原性外毒素の産生を検索した。その結果, 14例において黄色ブドウ球菌に毒素産生が認められ, そのうち9例でstaphylococcal enterotoxin Bが産生されていた。毒素産生群と非産生群で, 皮疹の重症度や総IgE値, 自己抗体の陽性率などに差はなかった。しかし, 毒素産生群の患者においては, 毒素を産生する菌株が長期間定着していることが示唆された。一方, 伝染性膿痂疹患者12例より分離された黄色ブドウ球菌からは毒素産生が認められなかった。これらのことから, アトピー性皮膚炎の病態とスーパ一抗原性外毒素を産生する黄色ブドウ球菌との間に関連性が考えられた。