1995 年 37 巻 5 号 p. 589-594
32歳男。頭頂部に径6mmの表面平滑な淡紅色, 半球状隆起性, 弾性硬の結節を認め, 軽度の毛細血管拡張を伴っていた。組織学的には線維性被膜に覆われた充実性腫瘍塊が表皮直下から皮下脂肪織内に存在し, 腫瘍塊はPAS陽性ジアスターゼ抵抗性の硝子様線維性結合組織によりさらに小さい腫瘍巣に細分化されており, ジゲソーパズル様に密に配列していた。個々の腫瘍細胞は比較的大型で淡染する核をもつ細胞と小型で濃染する細胞とに大別され, 腫瘍巣の一部には管腔様構造を有することから, 皮膚円柱腫と診断した。
1970年以降の過去23年間の本邦既報告例では頭部に70%が好発し, 単発型は14例, 多発型は6例であった。