1995 年 37 巻 5 号 p. 606-610
67歳, 男性。平成元年10月ごろより下口唇に無症候性の皮疹が出現し, 徐々に拡大し, 平成2年2月に近医にて切除されたが, 同部に再発をきたした。再切除を受けるも急速に増大してきたため, 当科紹介となった。下口唇全体に大きさ8×3×2cmのカリフラワー状腫瘤を認め, 粘膜にも浸潤していた。病理組織学的所見では, 錯角化, 角質増生を伴った, 乳頭腫状の表皮肥厚が観察され, 一部で癌真珠, 個細胞角化が認められ, 配列の乱れも認めた。腫瘍辺縁より約5mm離して切除し, 鼻唇溝部よりの局所皮弁にて再建した。以後再発もなく, 機能的にも特に問題を認めていない。