1996 年 38 巻 6 号 p. 581-584
アトピー性皮膚炎患者に認められたG群溶血性連鎖球菌 (溶連菌) による膿痂疹の2例を報告した。症例1, 5歳, 女児。乳児期より中等度のアトピー性皮膚炎がある。2日前より, 顔面, 前腕などに痂皮を伴った膿庖が出現してきた。症例2, 21歳, 女子。乳児期より軽度のアトピー性皮膚炎がある。1週間前より顔面を中心に膿疱が出現した。両者とも膿庖よりG群溶連菌が検出された。抗生物質の内服により, 軽快した。G群溶連菌の膿痂疹の臨床症状はA群溶連菌よりも軽いことが多い。またそれはカポジ水痘様発疹症に似た皮疹を呈し, あるいはそれと合併するので誤診することがあり, 注意を要する。