1999 年 41 巻 4 号 p. 429-433
骨髄移植後約70日目に毛孔性の皮疹を呈し急性GVHDと診断した1例を報告した. GVHDにおける皮膚症状は他の臓器障害に先行することが多く, 早期診断に重要である. 薬疹・各種感染症等に加え, 骨髄移植前の大量放射線照射や化学療法による臓器の不可逆性変化 (RRT) との鑑別を要し, 表皮内のHLA-DR染色が重要と考える. また皮膚GVHDの1つの説として外毛根鞘の幹細胞がリンパ球の標的とする“幹細胞標的説”があり, 本症例も毛嚢部のリンパ球浸潤・液状変性を認めた. 毛孔性の皮疹を呈した皮膚GVHDの診断には毛孔部の組織学的変化とCDla・HLA-DR等の免疫組織染色が重要である.