皮膚
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Sentinel node biopsyを施行した悪性黒色腫の2症例
伊藤 由佳杉浦 典子松本 佳子倉知 貴志郎小塚 雄民
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1999 年 41 巻 4 号 p. 434-439

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抄録

Sentinel nodeは腫瘍原発巣周囲に青色色素や放射性物質を皮内に注射し, 最初に注ぎ込むリンパ節のことで, リンパ節転移の可能性が最も高いとされる. 悪性黒色腫の原発巣周囲に青色色素を注射し, 青染したリンパ節を生検し, 組織学的に転移を認めた場合は, 廓清を行い, 転移の認められない場合は廓清を行わない方法が報告されている. 前胸部の悪性黒色腫2例にこの方法を施行した. 2例とも青染したリンパ節に組織学的には転移を認めず, 同部位の腋窩リンパ節廓清は施行しなかった. 悪性黒色腫の治療方針を決定する際, 個々の症例に対し, 廓清の施行について苦慮する場合がある. Sentinelnode biopsyは, 実際的な方法であると考えられたが, その有効性については今後の検討が待たれる. (皮膚, 41: 434-439, 1999)

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