皮膚
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毛細血管拡張性肉芽腫の免疫組織学的および免疫電顕法による検討
櫻井 真也
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1999 年 41 巻 5 号 p. 532-541

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抄録

皮膚科領域の血管性腫瘍 (血管腫) はさまざま分類が試みられており, 毛細血管拡張性肉芽腫は毛細血管性血管腫の代表的な血管腫のひとつとして分類されている。
今回, 著者はこの血管腫の増殖している血管の特徴を明らかにする目的で, 免疫組織学的および免疫電顕的検索を行い次の結果を得た。
1. 免疫組織学的検索ではvon Willebrand factorは一部の内皮細胞には発現が見られないが, 免疫電顕には認められ, 血管により内皮細胞内の局在の違いが認められた。このことはこの因子の産生, 貯蔵, 細胞膜への移動という生産供給システムがうまく作動していないことを反映しているように思われる。
2. α smoothmuscl eactinは通常, 平滑筋細胞に強く発現される物質であるが, 毛細血管拡張性肉芽腫では内皮細胞に著明に発現されていた。免疫電顕では核に局在しているのが認められた。
3. CD34は大部分の内皮細胞に強く発現されていた。免疫電顕的には内皮細胞接合部に強く認められた。
4. Estrogenreceptorの発現は1例を除いて陰性であった。
5. TUNEL法での検索では拡張した毛細血管が増生している部分でApotag陽性細胞を多く認めた。

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