皮膚
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アナフィラクトイド紫斑36例の臨床的検討: 小児・若年発症例と成人発症例の比較
山本 卓渡辺 元義澤 雄介鏑木 豊加藤 仁伊崎 誠一北村 啓次郎
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2000 年 42 巻 6 号 p. 562-566

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抄録

アナフィラクトイド紫斑 (AP) 36例の臨床症状, 検査成績治療について調査し, 症例を20歳未満の小児ならびに若年発症例 (以下小児例と略記, 10例) と20歳以上の成人発症例 (26例) に分類し合併症の出現頻度, 予後など種々の因子につき比較検討を行なった。その結果腎症状において, その発現頻度に有意な差は見られなかったが, 成人例では小児例に較べて腎障害がより遷延重症化する傾向が認められた。腎症状を伴った成人12例のうち2例は腎不全のため長期加療を要した。また皮膚症状, 病理組織学的所見は小児例・成人例の間で特に差異は認められなかった。治療に関してはdiaminodiphenyl sulfone (DDS) を小児10例中6例, 成人26例中12例で使用した。いずれの症例においても重篤な副作用の発現はなく良好な治療成績を示し, 成人例では腎症状合併例でも使用に問題はなかった。したがってDDSは成人例のみならず, 小児例でも有用な治療法と考えられた。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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