2025 年 23 巻 1 号 p. 17-43
本研究では、英語を母語としない者(以下、非母語話者という)の語彙性判断データを用いて、スペルと音の関係測定が反応時間に及ぼす影響を調査した。現時点で、非母語話者に対するスペルと音の関係に関するデータはほとんど見当たらない。本研究では、スペルと音の一貫性測定と情報理論的測定の、2種類の測定法で調査をした。一貫性分析の結果、フィードバック一貫性とフィードフォワード一貫性の効果が得られ、その方向は英語母語話者を対象とした先行研究と逆であった。情報理論的測定では、有意な効果は得られなかった。これらの結果は、非ネイティブの処理において正書法の影響がより強いことを示唆し、情報理論的尺度で測定されるものについて疑問を投げかけるものである。