2025 年 23 巻 1 号 p. 1-16
本研究では、日中異文化間コミュニケーションにおける話題転換の理解につながる知見をもたらすために、日本語会話と中国語会話における話題転換の判断に使われる手がかりを実験的に検証した。会話音声を聴取しながら話題転換を判断する実験を行い、先行研究で話題転換部の「手がかり」とされる多種多様な要因との関連を分析した。その結果、「質問表現」、「新情報」、「笑い」、「沈黙」の4つの要因が話題転換の判断に有意な正の影響を与えることが日中両言語に共通して見られた。また、「談話標識」は中国語会話の話題転換の判断にのみ正の影響を与え、「あいづち」は日本語会話の話題転換の判断にのみ負の影響を与える傾向が明らかになった。