抄録
ジュラ紀付加コンプレックスを主体とする南部秩父帯中津川層群両神ユニットが分布する秩父市大滝茂萩山周辺の地質図を作成した.調査地域の岩相は砂岩と砂岩・泥岩の破断相・混在相が大部分を占め,石灰岩,チャートの岩体や,泥質基質に砂岩,石灰岩,チャート,玄武岩類を含む混在岩を伴う.茂萩山に見られる石灰岩(茂萩山石灰岩)は北西−南東方向に約3 km伸長し,厚さは最大約300 mあり,従来知られていた両神ユニットの石灰岩岩体より大規模である.調査地域の地質構造は北西-南東方向の走向と高角北傾斜が卓越する.茂萩山石灰岩は周縁部に玄武岩類と石灰岩のみからなる混在岩を伴い,これは海山の玄武岩類と石灰岩の接触部が混在化してできたと考えられる.