奥武蔵,蕨山山頂付近にみられるヤエガワカンバ小林分の樹種組成を報告するとともに,小林分の成因について考察した.小林分は,山頂平坦面においてヤエガワカンバとこの地域の落葉広葉樹林の主要な構成種となるミズナラの幼齢樹が中心となるが,リョウブやアオハダなどの亜高木性樹木も多くみられた.現存する小林分は,1970年以前の人為的な伐採に起源があり,落葉広葉樹林の再生途上にいち早くヤエガワカンバが侵入したことによって形成された.さらに山頂平坦面に位置しているため,地表面の攪乱による根返りや風倒なども影響を及ぼしていると考えられた.