抄録
悪性リンパ腫は,小児と思春期における代表的な悪性腫瘍のひとつである.若年者におけるがん罹患者数は少ないが,悪性疾患はこの年代における死因の上位である.しかし,一般的に若年者の悪性疾患を迅速かつ的確に診断することは,高齢者に比較し時間を要することが多いと言われている.実際,我々は最近,整形外科的疾患を疑わせる症状を契機に見いだされた17歳男性の悪性リンパ腫2例を経験したが,確定診断に到るまでに相当の時間を要していた.その要因として,思春期の心理的特性,特に,自分自身の健康への過信や両親に自分の体調について細かく伝えるようなことはしなくなる,といった年齢相応の思考と行動パターンが強く影響していると考えられた.それは海外の同様の検討結果のそれよりも長時間であった.悪性疾患専門病院紹介に至るまでの過程を検討すると,思春期患者特有の思考と行動パターンが一因と考えられた.若年者に限らないが,実地診療では必ず悪性疾患を鑑別に挙げる必要があるともに,思春期患者特有の思考と行動パターンを考慮する必要があると考える.