バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
健常者における安静立位時の足位
田中 繁九里 達夫三上 真弘
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1992 年 16 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

立位平衡機能の計測で重要な条件となる足位について調べた.被験者は10代終わりから70代までの健常者88名であった.定位はA3グラフ用紙の上で安静立位を行わせ,足形を採り計測した.計測項目は両足の前後間隔,左右内側間の距離,および開き角度とした.その結果,全データの平均値で左右距離は約48mm(平均±2SDでは110mmが上限),前後間隔はほぼ0だがやや左が前,右開き角約10度,左開き角約8度の各値が得られた.年齢と身長との関係では,いずれに関しても左右間隔と右開き角で相関が有意であったが弱い関係であった.計測項目間の相関を調べると,左右間隔と左足の開き角(弱い関係)および左右の開き角で有意であった.立位平衡機能計測での定位設定の容易さや一般の計測データとの普遍性を考慮にいれると,開き角は平行とするのが好ましい.一方名値の年齢や身長への依存性は弱いものであった.したがって開き角を固定するなら,安静立位状態での足位条件は適当な一種類としてもその影響は異なる年齢や身長に依存しない.結果からは,足幅としては100mm程度が上限と見られた.前後間隔はOとみなし,揃えてよいようであった.開き角についてはやや開きぎみが自然と考えられた.

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© 1992 バイオメカニズム学会
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