バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
タッピング法による予測動作時間精度の検出
中園 嘉巳田中 久弥井出 英人
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2003 年 27 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

指タッピング法を用いて, 予測ボタン押し動作における予測精度を測定した. 被験者には, ブザー音が周期的(インターバル: 0.8, 1.1, 1.3, 1.9秒)に繰り返し呈示され, a)音を聞きながら, あるいはb)音に合わせてボタンを押しながら, 最後のブザー音の後に予測したインターバルの経過を待って, 指でボタンを押すように指示された. ボタンが押されるまでの時間が予測時間として, インターバルの実時間との差が予測誤差として測定された. 結果, 被験者15名において, インターバルの長さと予測誤差の大きさとに相関が認められた. その内9名では, インターバル1.9秒において予測時間が実時間より10%を越えて有意に減少した. 音に合わせたボタン押し動作を伴った場合b), 対照例a)と比較して, 予測時間の変動係数(CV)が有意に減少した. つまり, 周期的運動を行うことによって予測時間の精度が向上した. この結果は, 心理学的時間知覚と生理学的周期運動との連関を示唆する.

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© 2003 バイオメカニズム学会
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