抄録
「他者の意図(目的を達成するための行為プラン)を再現すること」としての模倣は,ヒトという生物種を特徴づける問題解決・学習ストラテジーである.模倣能力をもったロボットを実現できれば,言語や慣習などさまざまな社会的スキルを,観察と実践をとおして獲得させることができる.では,ヒトはどのようにして目に見えない他者の意図を目に見える身体動作から読みとるのだろうか.ロボットによる他者意図の読みとりを可能にするには,どのような機能が必要だろうか.本論文では,ヒト乳幼児のコミュニケーション発達を手がかりとして,模倣を成り立たせている認知メカニズムについて考察してみたい.