「形」について考えてみることは意義深い.「形」は我々の視覚的認知に関係した概念であり表層的であるのに対して,それに関連の深い概念である「構造」はより内実的である.形を成り立たせるものは,三次元的な要素集合状態に還元して考えることができる.同時に,時間安定性の視点も「形」を考える上では欠かせない(この際,補完的に,形になりえない“不安定構造の機能”に気づく.それは脳現象解明のヒントかもしれない).一般論として,要素の生成機構や要素間の相互作用のありかたが「形(構造)」や機能を決定していることが示される.その際,生物は,環境影響をロバストかつ柔軟に取り込みながら,ゲノム支配により個々の要素をインテリジェントに生成・挙動させている.そのあり方は,究極の工学「超発生工学」を高く指し示している.